テレビのニュースでの事件・事故でよく耳にする脳挫滅・脳挫傷・脳震盪の三兄弟。
字面からなんとなく想像はつくものの、どうにもややこしくてそれぞれの詳しい違いは分からなかったので調べてみました。
脳挫滅とは?
脳挫滅とは、外部からの衝撃や圧迫によって脳の内部の組織が破壊されること。
実際には、「外傷による脳組織の挫滅を脳挫傷」と言うそうです。
(イメージからすると、脳挫滅 > 脳挫傷 なんですが)
言い換えると、頭蓋骨陥没骨折・頭蓋骨粉砕骨折あたりですね。
治るのか?となれば後述の脳挫傷と同じなのですが、敢えて「脳挫滅」という言葉を用いている場合は基本、死亡でしょう。
脳挫傷とは?
脳挫傷とは、鈍体による打撃や圧迫によって脳の内部の組織が損傷した状態のこと。
衝撃を受けた側の脳は局所的に損傷を受け、その反対側の脳は広範囲に渡って損傷を受けます。
この状態は豆腐で考えると分かりやすいかも。
ガンッとやられたことで豆腐は部分的に傷がつく、その勢いで反対側に飛ばされて容器にぶつかることで広範囲に損傷が及ぶという感じです。
治るのかについては、昏睡状態の重症脳挫傷(脳内血腫の合併を含む)の場合の死亡率は44%、社会復帰は31%とされています。治癒しても麻痺などの後遺症が残ることがあります。
(東京慈恵会医科大学 脳神経外科学講座より)
脳震盪とは?
脳震盪とは、転倒や外傷などで直接的に頭部に衝撃を受け、脳が大きく揺さぶられて一時的に発症するもので、脳への損傷はほとんどないのが特徴の脳の機能障害のこと。
ボクシングのKOを典型例として、サッカーやラグビー、アメフト、柔道などのスポーツ、日常生活においても、転倒によって頭部を強打した際などにも起こります。
症状は急激に現れ短時間で自然に回復、器質傷害というより機能傷害が原因であることが多いために特に治療を必要としないとされています。
が、IRB 脳震盪ガイドラインによると「脳震盪は極めて深刻に取り扱わなくてはならない」とのこと。
(【追記:2020年7月18日】上記のリンク先、
<http://www.rugby-shizuoka.jp/wp-content/uploads/2011/09/28df3168d505e68a0664396d62c38e5a.pdf#search=’IRB%E8%84%B3%E9%9C%87%E7%9B%AA%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3′>
は削除された模様。)
テレビの交通事故のニュースでは「脳挫傷で死亡」とか「脳挫滅で死亡」と犠牲者の死因を伝えていますが、見ているとどうやら被害の状況、つまりは遺体の損傷度合いを局側で判断して言葉を使い分けているんじゃないでしょうか?
例えば、単に車にはねられて死亡の場合は「脳挫傷」、車に数十メートル引きずられて死亡の場合は「脳挫滅」ですから。
エグい表現はできない、視聴者の皆さん、伝わってる?という感じ。
この記事を読んで頂いた方にはその辺、ちゃんと伝わってると思います。
以上です。
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