朝起きると、枕の上に細くて短い抜け毛が大量でゾッとする・・。
シャンプーで髪を流した時に指にまとわりついてくる抜け毛の恐怖・・。
成人した日本人の髪の毛の平均は約10万本と言われています。これは男女含めた平均量で、多い人で13~14万本、少ない人では7~8万本と、個人差があります。
抜け毛自体は自然なこと、ヘアサイクルの計算からでは、1日あたり50~100本程度の髪が抜けることになりますので、心配する必要はありません。
しかし、細くて短い抜け毛が増えてきたら、要注意です。
薄毛のタイプ
男性型脱毛症 (Androgenetic Alopecia = AGA)
若年性脱毛症も壮年性脱毛症もどちらもAGAであることには変わりはなく、特に明確な定義はないものの、年齢によって
若年性脱毛症・・主に20~30代前半から進行する脱毛
壮年性脱毛症・・主に40~50代以降に見られる脱毛
と分類することができます。
ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンがAGAの主な原因で、このDHTは毛乳頭細胞の分裂を抑制するために髪のもとである毛母細胞の活動が低下し、ヘアサイクルにおける成長期が短くなると考えられています。
成長期が短くなると、髪が太く長く成長する前に抜けてしまうこととなり、十分に育っていない細く短い髪が多くなってしまうと全体として薄毛が目立ちます。
ちなみに男性ホルモンは、髪は薄くする方向に機能しますが、ひげや陰毛などは濃くする(硬毛化)方向に働くと考えられているそうです。
びまん性脱毛症
女性の薄毛の主な原因です。
びまん性脱毛症は、FAGA(女性男性型脱毛症・女性型AGA)とも呼ばれ、一般的に40代以上の女性に多くみられます。
頭髪全体から髪の毛が少しずつ抜け落ちていくという特徴をもつ脱毛症で、一部分が集中して薄くなるということではなく、徐々に髪の毛のボリュームが減少して弱くなり、頭髪全体が次第に薄くなることで髪の分け目の頭皮が目立つようになります。
頭髪全体が少しずつボリュームダウンしていくためになかなか気付きにくく、薄毛がかなり進んでしまってからようやく髪の量の変化に気付き、脱毛症を自覚するようになったという人も多くいます。
初期症状である、髪の毛が細くなった、切れやすくなった、ボリュームが減った、コシやハリがなくなってきたを感じているなら、それはびまん性脱毛症の可能性があります。
特定されていませんが、原因はホルモンバランスの崩れや頭皮の血行不良とされています。
年齢を重ねるにつれ女性ホルモンの分泌量が減少していくために、ホルモンバランスが崩れがちとなって男性ホルモンが優位になるため、抜け毛が増加して薄毛が進みます。
また、血行不良が発生して毛母細胞の活動が妨げられると、髪は成長できないために薄毛が進行するとされています。
牽引(けんいん)性脱毛
こちらも女性に特有な薄毛の原因です。
牽引性脱毛症とは、髪が引っ張られることで起こる脱毛症で、髪は長時間同じ方向に引っ張られて頭皮の血行が悪くなり、毛根に栄養が届きづらくなって栄養が不足し、細くなったり抜けたり切れたりしやすくなります。
髪を強く引っ張ることでまだ抜けるタイミングではない髪までも抜けやすくしてしまい、負担のかかっている分け目や結び目の髪の毛が抜けて薄くなってしまうことで頭皮が目立つことになります。
また、いつも同じ分け目や結び目にしている場合、いつも同じ箇所が日光に晒されることになって頭皮が紫外線などダメージを受け、髪の毛を作る機能が衰えて牽引性脱毛症を引き起こす可能性があります。
この症状は、ポニーテールやお団子など普段から髪を引っ張るように結ぶことの多い人に見られやすく、日常の作業で軽く髪を結んだり、時々のヘアスタイルとして強く引っ張る程度では頭皮への負担が継続しにくいため、牽引性脱毛症となることは少ないと考えられます。
脂漏性脱毛症 と 粃糠(ひこう)性脱毛症
脂漏性脱毛症とはホルモンの分泌に乱れが生じることで過剰に皮脂が分泌され、それらが毛穴を塞ぐことで毛穴や毛根が炎症を起こし髪が抜けるという脱毛症です。
過剰に分泌された皮脂自体が毛穴を塞いでしまうために髪が抜けるわけではなく、塞がれた毛穴周辺で病原菌が異常繁殖し、その影響で毛根部近くまで炎症が及んで髪が抜け落ちるということです
「発毛・育毛」には毛穴に詰まった「皮脂」を取り除くことが必要であるという説が一般的となっているため、テレビの通信販売番組でも多くのヘアーサロンでも、抜け毛の原因をこの「脂漏性脱毛症」としていることが多いようです。
ですが、実際のところ非常にまれな脱毛症のひとつで、脱毛症で悩む人の中でこの脂漏性脱毛症になる人は、全体の1%にも満たないと言われています。
抜け毛が多くて頭皮が脂っぽく赤く炎症している、この症状は脂漏性脱毛症の可能性があります。
粃糠性(ひこう性)脱毛症とは乾燥したフケが毛穴やその周りを塞ぎ、病原菌が繁殖して毛根が炎症を起こし、その結果として抜け毛となってしまうという脱毛症を指します。
発症の原因や抜け毛に至るプロセスは脂漏性脱毛症とよく似ていますが、脂漏性脱毛症と粃糠性脱毛症の違いは、前者が過剰な皮脂の分泌によるもので、後者は頭皮の角質異常による大量のフケに起因します。
場合によっては、これらが複合的に発症するケースもあります。
そして、この粃糠性脱毛症もまた比較的珍しい脱毛症ですので、ヘアーサロンでフケが多いので粃糠性脱毛症かもしれないなどという安易な診断に騙されないようにご注意ください。
分娩後脱毛
分娩後脱毛症とは産後に一時的に起こる抜け毛のことで、産後脱毛症とも呼ばれ、出産後に髪が抜け出して薄毛になるという症状です。
妊娠・出産を経験した大半の人に発症している脱毛症で、髪が一度に抜け落ちてしまうために不安に思う人が多くいますが、たいていは出産後、授乳を終えるころである6ヶ月~1年程度で自然回復してきます。
ホルモンバランスの崩れが原因で、妊娠中はエストロゲンなどの女性ホルモンの働きが活発化し、ヘアサイクルが一時的に変化します。
妊娠の後期には女性ホルモンによって成長期を維持してきた頭髪が、出産後には一気に休止期に入ってしまうため、抜け毛の症状が出ます。
この分娩後脱毛症については他の脱毛症とは違ってあまり深く悩む必要はなく、基本的には一般的な6ヶ月~1年ほどの自然回復を前提としての対処をとっていれば充分です。
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