自動販売機・もう1本出て来た!? 超危険!! 「青酸コーラ無差別殺人事件」

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先日、自販機の前で騒いでいる者がいた。

「あれ? 前に買った人が忘れていったのかな?」

どうやらもう1本余分に商品をゲットした模様であった。

なんと、ラッキー! とばかりにその1本を平気で友人にあげていた!!

すると、その友人も何ら疑うこともなく平気で受け取り飲みだして‥。


この光景を見て、思わずゾッとしました‥。

きっと、この人たちは知らないんだろうな‥。

あの未解決の毒入りコーラ事件青酸コーラ無差別殺人事件を‥。

第1の青酸コーラ無差別殺人事件の概要

1977年(昭和52年)1月3日午後11時過ぎ、新幹線のビュッフェ(食堂車)で働いていた従業員の男女6人が勤務を終え、品川駅から歩いて5分ほどに位置する会社の寮に帰る途中、電話ボックスの中に「コカ・コーラ」の普通サイズ(190ml)のビンが置かれているのを仲間の女性が発見した。

現在のコーラは缶容器が主流であるが、当時は何度も繰り返して使うことのできるビン容器が全盛の時代だった。

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当然ながらその「コカ・コーラ」のビンには中身が入っており、ちゃんと未開封であった(栓がされていた)ために、彼女は「きっと電話をしていた誰かが忘れたのだろう」という軽い気持ちで手に取って仲間内で一番若かったアルバイトの男子高校生(当時16歳)に手渡し、彼はそのコーラを寮に持ち帰った。

翌4日の午前1時過ぎ、男子高校生がこのコーラを飲んだところ、異様な味を感じたためにすぐに吐き出し、水道水で口をすすいでいたものの、その後5分ほどで突然急に苦しみだし倒れ、嘔吐、意識不明の重体となった。

直ちに病院に運ばれ胃洗浄などの救命処置が行われたが、午前7時30分過ぎに死亡した。

検視の結果、死因は青酸中毒死
身体全体がピンク色に染まるという青酸中毒死特有の症状が見られた。

110番通報を受けた高輪署が、このコーラのビンを警視庁科学検査所に送って毒物鑑定を行った結果、青酸反応が検出された。

第2の青酸コーラ無差別殺人事件の概要

さらに同じ日の午前8時15分頃、その電話ボックスから600m離れた歩道上で、作業員(当時46歳)が倒れているのを、近くの会社員が発見。110番通報で近くの病院に運ばれたものの、すでに死亡していた。

男性が倒れていた場所にはコーラを吐いた跡があり、そこから約100メートル離れた電柱の下に開栓されたコーラのビンが転がっており、残っていたコーラから青酸反応が検出された。

警視庁は、まだ他にも毒入りコーラがばらまかれている可能性があるとみて、近隣の警察署の警官たちを動員して周辺を捜索したところ、同日午後0時過ぎ頃、第1現場から600mほど離れた品川区にある商店の赤電話台の棚に、青酸入りのコーラが置かれているのを発見した。

実はこの直前、その商店の息子(当時15歳)が祖母からのお使いを頼まれて出かける際、このコーラの存在に気付いていたという事実が判明。

しかし彼は、そのコーラが通常のものより上部が少し色が薄くて変に思ったことと、まずは用事を済ませることが優先だと思ったことによって、「コーラは後回し」にすることにした。

彼がそれが毒入りコーラであった事を知ったのは、その10分後、用事から帰宅した際に捜査員がすでに到着していたからであった。

「コーラは後回し」、この選択が間一髪、彼の命を救うこととなった。

混入されていた毒物とは?

毒入りコーラには致死量の「青酸ナトリウム」が混入されていた。

「シアン化ナトリウム」、「青酸ソーダ」。

青酸カリ(青酸カリウム)同様、非常に毒性が高いものである。
(致死性においては、「青酸カリ」 >「青酸ナトリウム」)

ちなみにながら、地上最強の生物毒である「テトロドトキシン」、いわゆる「フグ毒」は、その致死量を「1」とした場合、青酸カリのそれは「1/1,000」となる。
(参考 :  生物毒 )

何故こんな危険な薬品が存在するのか? というと「メッキ」、金、銀、亜鉛などの加工には欠かせない薬品だからである。

そして当時、犯行現場付近から川崎・横浜にかけての工場街にはメッキ工場も多数あった。

第3の青酸コーラ無差別殺人事件の概要

東京での事件発生から約1ヶ月後、1977年(昭和52年)2月13日午前6時20分頃、大阪府藤井寺市の会社員の男性(当時39歳)が出勤途中、タバコを買うために立ち寄った酒屋の販売機の上にコーラのビンが置いてあるのに気づいて、拾った。

近くの電話ボックスにもコーラが1本置かれていたものの、8分目しか入っていなかったため、誰かの飲み残しだろうと判断して手を付けなかったという。

職場の同僚らの「何か入っているかもしれないのでそんなもの飲むな」との忠告に対して彼は、「一口飲んだけど大丈夫だった」と表に出て一気に飲み干した。

すると突然、意識不明に陥って病院に運ばれた。

警察の捜査で、これら2本のコーラから青酸化合物が検出された。

彼は一命を取り留め、3日後の16日に無事退院できたものの、その翌日の17日に改めて事情を訊こうと訪れた捜査員により、自宅でガス自殺しているのを発見される。

「東京の事件を知っていたのにこんな騒ぎになって恥ずかしい」

「2、3日前に子供に ”変なコーラを飲むな” と注意したばっかりなのに」

「かっこ悪い、かっこ悪い」

死の直前にこのように家族などに漏らしていた。遺書はなかった。

が、

「コーラを持ち歩いているのは同僚が見ているものの、飲んだ場面は見ていない」

「男性の症状は青酸中毒特有の血球異常やチアノーゼ反応がなかった」という。

多少の借金があったことや、メッキ工場に知り合いがいることなども判明したものの、何よりも家族仲が良かったにも関わらず、あえて青酸コーラ事件の被害者を装っての自殺という道を選んだその動機については不明のままとなってしまった。


その後も「青酸入りチョコレート事件」などを含めて、第4の? 第5の? 第6の? 第7の? という事件が起こるのですが、今回の記事には必要ないので省略。

今の時代だからこそヤバい「ラッキー!!なもう1本」

以上、「あの事件」について振り返ってきましたが、考えてもみてください。

この青酸入りコーラってすべて常温」での放置だったんですよ?

にも関わらず、こんなものをわざわざ持ち帰ったり、そのまま飲んだりして‥。

結果、死んでしまうというこの人間の浅ましさというか、その悲哀ときたらもう‥。

今の時代、こんなものが路上に放置されてても誰も手にしようとも思わないでしょ。


今は「ビン」じゃなくて「缶」だからよかった‥。

こう思う人、いますか? 果たしてそうでしょうか??

確かにこの事件以降、自動販売機の主流として「ビン」からプルトップ付きの「缶」(250mlストレート缶)に移行したのは事実。(それはそれで当時は、手を突っ込んで引っこ抜けばいくらでも盗めるという稚拙な作りの自販機でしたが)

では、その缶の飲み口に何らかの毒物が塗り込まれていたとすれば‥?

現在の自販機、その気になって仕込めばいくらでも冷やせますね。
まさに今出て来たかのように見せかけることなど、容易ですよ。

私は、自販機で購入した缶、取り扱い業者の指紋等も含めてその気持ち悪さから必ず「とりあえず拭う」(本当は洗いたい)をモットーとしているのですが、あなたは‥?

一度事件が起こると、この世から缶飲料製品はすべて消え失せるでしょうね‥。

最も恐ろしいシナリオ‥。

警察は結局、犯人像や具体的な容疑者の特定を全くできずに「青酸コーラ無差別殺人事件」は未解決のままとなっています。

この事件、現代で言うところの「劇場型犯罪」の典型例 であり、「愉快犯」の元となった事件だそうです。

この事件の犯人、これだけの無差別殺人を行ったにも関わらず逮捕されていない以上、その後もきっと我々と変わりのない平和な社会生活を送ってきた(今尚送っている?)ことは歴然たる事実です。

シリアルキラー(連続殺人犯)の特徴は「成功体験の繰り返し」。

加えて、新たな模倣犯の登場を想像すると、またいつどこでどのタイミングで同様の犯罪が行われるか、分かったものじゃありません。

もしかして、普段親しくニコニコお付き合いしているお隣さん、実はこの無差別殺人事件の張本人という事態に陥ってしまうかも?

自動販売機でもう1本出て来ても、決して喜んではいけません。

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