突然ですが、「黴菌」、何て読むのでしょう?
答えは、「バイキン」です。
これを踏まえて、「黴雨」は何と読む??
答えはもちろん、「ばいう」ですね。
その意味は「梅雨」に同じ。
「梅雨」は一般的に「つゆ」と読まれますが、「梅雨前線」などに元々の読み方の「ばいう」が残っています。
最期にもう一つ‥。「黴」。これ1文字での読みは??
答えは「カビ」です。
「黴雨」と「梅雨」
そもそも「黴雨」は中国から入ってきた言葉で、揚子江流域でちょうど梅の実が熟す時期での雨期のことを指しているそうです。
長雨によってカビが発生しやすくなることから「黴」だったものの、印象が悪いために、ちょうど旬を迎える時期である同じ音の「梅」が当てられて「梅雨」になった、とか。
では、「梅雨」の読み方が何故「つゆ」なのか?
これにはいくつか説があります。
・梅の実が熟して“つぶれる”を意味する「潰ゆ(つゆ、ついゆ)」からとするもの
・カビのせいで食べ物や衣類が「潰ゆ」からとするもの
(潰える(ついえる)‥こわれる、ダメになる、疲弊する、やつれる、弱る等)
・木の葉などに残る「露(つゆ)」からとするもの
・毎日連日雨が降る時期なので、「梅」の中の「毎」をとってというもの
一体いつから「つゆ」と呼ばれるようになったのか?
平安時代に日本に伝えられたとされる「黴雨」ですが、「日本歳時記」(貞享4年、1687年)に「此の月淫雨ふるこれを梅雨(つゆ)と名づく」と記載されていることから、江戸時代であるとされています。
「カビ」について
梅雨の時期になると「カビの繁殖に要注意」とよく言われるのですが、衛生微生物研究センター によると、梅雨の季節と同じくらいカビの発生に注意しなければならない時期があり、それは「秋の長雨」、秋雨の時期だそうです。
6月あたりから梅雨がスタート、夏の季節を越えた9月頃の秋に? どうして??
カビの発生条件
カビが生育するのに必要な3大条件が「温度」「湿度」「栄養素」です。
温度
上記のセンターによると「温度が5℃~35℃前後であれば、付着した表面の栄養と水分を利用して発育します」とのこと。
つまりは温度4℃とされる冷蔵庫の中にもカビが生えます。
発生しやすいのは20~30℃で、最も発育しやすい温度は25℃前後です。
湿度
空気中の水分量が多いほどカビの発生率は高まります。
空気中の相対湿度(※) = 湿度が60%以上となると増殖しはじめ、多くは湿度80%以上でより活発となります。
※「その温度での飽和水蒸気量に対しての、その空気中の水蒸気量の比率」
栄養分
ちり、ほこり、皮脂、石けんのカスなどを含めた、ニンゲンの日常生活におけるほとんどすべての物質。
秋の長雨の時期のデータ
気象庁の東京 平年値(年・月ごとの値) 主な要素 を見てみると、
東京での降水量は梅雨の6月が167.7mm、7月が153.5mm、秋雨の9月が209.9mmと、秋雨の時期のほうが多く、相対湿度は6月が75%、7月は77%、9月は75%と、ほぼ横並びです。
気温をみても梅雨の6月が21.4℃、7月は25.0℃、秋雨の9月は22.8℃と大した違いはありません。
前述のとおり、カビが「最も発育しやすい温度は25℃前後」で「湿度が60%以上となると増殖しはじめ、多くは湿度80%以上でより活発」であることからすると、梅雨とともに秋雨の時期も、カビの発育に適した季節というわけです。
ただ、上記センターのまとめとして、
「空中に浮遊するカビの胞子数は、秋が一番多いという報告があることから、本当は梅雨以上に秋のカビ対策には力を入れるべきかもしれません」
としているのですが、鵜呑みにするわけにはいかないので一応調べてみたところ、以下のデータが見つかりました。
(画像出典 : カビ検査マニュアルカラー図譜 )
10月にまでなだれ込むと確かに「カビの胞子数は秋が一番多い」となりそうなのですが‥。
秋雨が9月としている以上、これは少々苦しいですね‥。
入院見舞いに「花」は禁止
以前までは病院の入院患者へのお見舞いの定番だった「お花」ですが、今や現状、病院への持ち込みは禁止となっています。
ご存じでしたか?
「病院 お見舞い 花」あたりでググってもらうと分かるように、今や日本全国、その規模の大中小に関わらず、全ての病院において禁止、これが原則となっています。
「生花」のみならず、「鉢植え」「フラワーアレンジメント」「プリザーブドフラワー」「ドライフラワー」等々‥。
もはや「植物」の持ち込みは全面禁止ですので、ご注意を。
未だに「お見舞いに相応しい花」というようなページも存在しますが、もはや時代遅れでお恥ずかしい限り‥。
試しに、お住まいの身近にある病院のHPにアクセスして調べてみてください。
信用できる病院か否か? の判断基準にもなると思いますよ?
病院への「花」の持ち込み禁止の理由
何故なのか?
各病院のHPの情報からその理由をまとめてみたところ「院内感染の予防」です。
・「花粉によるアレルギー発症の予防」
・「花瓶の水に発生しやすい緑膿菌(※1)やセラチア(※2)による感染の予防」
・「鉢植えの土壌に常在するレジオネラは(※3)の増殖・繁殖の防止」
(※1)緑膿菌 : 地球環境の中に広く分布している代表的な常在菌の1つ。仮に健常者に感染しても発病させることはほとんど無いものの、免疫力の低下した者に感染した場合には、緑膿菌感染症の原因となる。しばしば緑色の膿が見られることから名付けられた。
(※2)セラチア : 土壌、水中、動植物中にみられる真正細菌(バクテリア)の一属。薬剤耐性を持つ株があるものの、その毒性は弱い。院内感染の原因菌の一つ。プロディジオシンという赤い色素を生産するという特長を持っている。
(※3)土壌に存在する病原菌 : その代表がレジオネラ。主に沼や河川などの水の中や、土壌など、自然環境中に存在している常在菌の一種で、通常は感染症を引き起こすことは少ないものの、抵抗力の弱い人にとってはレジオネラ感染症の原因になる。
殺人カビ「トリコスポロン」と「アスペルギルス」
上記のカビ群でも、運悪く感染してしまって発症した場合、死亡してしまいます。
例えば「レジオネラ」、 Wikipediaの「日本における主な感染事例」を見ると、「加湿器」「入浴施設」「温泉施設」をキーワードとして、多くの人が亡くなっています。
以上に加えて、殺人カビとして「トリコスポロン」と「アスペルギルス」をご紹介。
【トリコスポロン】
「トリコスポロン」はアレルギー反応が原因で生じる肺炎の1つの「夏型過敏性肺炎」という病気を引き起こす原因となっているカビです。
“専業主婦の病気”とも言われるほどに、長時間自宅にいることの多い女性が罹りやすく、その患者の数としては男性のおよそ2倍だそうです。
症状としては、「息切れ」「咳」「発熱」「倦怠感」など。
アレルギー性の炎症なので、例えば一旦、旅行などでその環境から離れると症状が軽くなったり、もしくは消えたりすることも。
しかし、旅行を終えて帰宅後、元の生活に戻ると再び症状が現れます。
「トリコスポロン」は湿気の多い環境を好み、風呂や台所などの水回りの腐った木材や、ゴザやジュウタンなどを敷いたタタミなどにも繁殖します。
その胞子は大きさが約3ミクロン(ミクロン=ミリの1/1000)と非常に小さいため、エアコンなどの風で部屋中を浮遊することで、鼻や口から吸い込まれて肺に侵入します。
この「トリコスポロン」には健康な人でも侵される可能性があり、ただの「夏カゼ」だと思っていたのに、実は「夏型過敏性肺炎」。
罹ってしまうと死亡することもありますので、ご注意を‥。
【アスペルギルス】
「アスペルギルス」は自然界に広く存在しているコウジカビの一種で、ほとんどのヒトが毎日吸入していて、通常は病気の発症までは至りません。
しかしアスペルギルス属のうちのアスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigatus)やアスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などはヒトに対して非常に強い病原性を持っているカビです。
免疫力が低下している人や肺に空洞があるなどの病変を持つ人が吸い込むと、アスペルギルス症(カビ性肺炎)に進行する事があります。
症状は、「咳」「喘息」「血性痰」「胸痛」「肺炎」「副鼻腔炎」「呼吸困難」など。
カビが産生する毒(カビ毒)を総称して「マイコトキシン(Mycotoxin)」と言いますが、そのうちのグリオトキシン(Gliotoxin)というマイコトキシンが関与していると考えられています。
アスペルギルス症の中でも肺に感染したものは、肺アスペルギルス症と呼ばれ、治療が困難とされています。
原因菌は病院内では観葉植物(鉢内の堆肥や土)、生花やドライフラワーの表面、花瓶の水、エアコンまたはヒーターの吹出し口、浮遊粉塵などから高頻度で検出される。特に、病院改築や改装の際、院内の空気中に増加することが報告されているが、この事は医療関係者の間でも周知されていない現状があるため、免疫力が落ちている者への予防が大切である。(Wikipedia)
身体に異変がある人や免疫力が低下している人が罹ることが多い「アスペルギルス症」。そのため病気の進行は速くて、全身に感染するのでその症状もさまざま。
治療が遅れた場合には死亡する可能性が高いので、注意が必要です‥。
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