以前、近所のスーパーでみそ汁に入れようと思ってアサリを見ていた時、隣にいたおばちゃんが店員を呼び止めて、
「「砂抜き済」という表示があるけれど、ホントに砂は抜けているのか? 」
みたいなことを問い詰めているシーンに出くわしたことがある。
聞くともなしに聞いていると、どうやら「砂抜き済」とあったのに、例の「ジャリッ」というイヤな「砂を噛む」思いをしたらしい。
「そんなこと売り場の店員に聞いたところでまともな答えが返ってくるはずないだろ‥」
「変に答えると”アイツが言った”と責任を問われるぞ? やめとけ」
などとあれこれ思いつつ、個人的には「砂抜き」を表示してくれているだけで“普通に感謝”なのである。
というのは、一度「ノー砂抜き」のアサリを購入してしまったという、ホントの悲劇を味わっているため‥。
状況としては、噛んでのあの「ジャリッ」の感覚を感じたので口から取り出して確認してみたところ、アサリ本体が「砂まみれ」‥。
「こんなもんをスーパーで売るのかぁ‥?」と泣きながらも、以降、1匹1匹みそ汁でしゃぶしゃぶ‥。
洗い落として底にたまった大量の砂を飲み込まないように気をつけて‥という悲惨な体験をしているので。
正しい「アサリの砂抜き」の方法
簡単に説明すると‥
見てのとおりの道具と状況を整える
アサリ本体、網つきのバット、新聞紙、水 1000ml(1リットル)、塩 大さじ2杯。
「水1000ml(1リットル)に対して、塩を大さじ2杯(約30g)」という海水と同じとされる塩分濃度(=約3%)の液体を作る。
(「潮干狩りの場合は穫った場所の塩水がアサリが一番安心する」としているサイトもありますが、もしもそうなら新鮮なままの持ち帰りにはそれなりの工夫が必要となるでしょう)
水道水でアサリを洗う
水道水でアサリを擦り合わせるように軽く洗う。
(「貯めた水で洗うのは厳禁」などと「赤文字」で強調表示しているサイトや「カルキ抜きしたものが理想的」としているサイトもあるものの、その根拠については触れられてはいません)
アサリを並べる
アサリを網つきの2重バットに並べる。(貝料理専門店の店主によると、上のアサリが吐き出した砂を下のアサリが吸わないように「ざるに平らに並べてその下にボウルやバットを置いて2重底にする」のだそう。つまりは、特に2重バットを用意する必要はありません。
また、「お互いにくっつかない方がイイ」とされているものの、その根拠については不明。アサリ同士のストレスを推測してとか?)
塩水を入れる
アサリがちょうど水面から少し出るくらいに塩水を入れる。(「完全に浸かってしまうと呼吸が出来ずに死んでしまう」という赤文字の強調表示で適当な記述をしているサイトもあるものの、そもそもアサリは海底に生息する生物であり、巨大な呼吸器官のエラを持っているのだが‥?加えて、無気呼吸(酸素を必要としない呼吸)に対する耐性の報告もあるが‥?
新聞紙で蓋
その目的は、アサリが吐き出した水で辺りが水まみれになることを防ぐため。
(本来の生活環境に近づける(砂の中の真っ暗な世界を再現)と紹介しているサイトもあるものの、その真偽は不明。ホタテガイの「ヒモ」には眼点と呼ばれる「明暗を識別できる目」があるそうですが、アサリについては見つかりませんでした)
「スーパーでの購入のアサリなら2時間から3時間、潮干狩りのアサリなら一晩」
だそうですが‥この時間の定義の根拠はどこに‥? については触れられていません。
で、そろそろ終わり。その後、今一度アサリを水道水で軽く洗う、と。
そしてまた、貯めた水で洗うのは厳禁だ、と‥。
ネット上には、単に見聞きしただけでろくに調べもせず、アフィリで儲けるためだけに準備されたサイトでの“まったくその根拠が記されていない適当な情報”がとにかく溢れかえっています。
デタラメに過ぎる「やりすぎ」な情報も多いので、絶対に鵜呑みにしちゃダメ。
まさしく「信じるか信じないかはアナタ次第です」というリテラシーの問題ですね。
(関連記事 : 実は自分でセルライトの除去を行うのは簡単ではない理由 )
「野菜の50度洗い」について
「50度洗い」、野菜だけじゃなくて、果物、肉や魚にも応用可能な【新鮮さを取り戻す秘策】として流行りましたね、ちょっと昔に。
これについては、農薬工業会という謎の組織によるHPの「野菜の50度洗いの方法と注意点!」をご覧ください。
まあ、以降は恒例のユーチューバーの「初めてやってみた」シリーズのネタとしても盛り上がったみたいだし、料理界ではもはや常識かのように取り上げられていて相変わらず盛り上がっている様子。
しかしこの「50度洗い」、個人的には当時からあまり興味がありませんでした。
なぜなら、もちろん「美味いモノを食べたい」のは当たり前、でもその延長線として必ずしも「新鮮さ」が必須条件であるとは思えないので。
というのも、分かりやすくいうと例えば、バナナ。
スーパーで1房「100円」程度になった時だけを狙って、食べたくなってということではなく「栄養」の観点からでしか購入しないバナナ。
私の場合、「いつ買ったんだっけ?」というくらいに放置しておいて、ようやくスウィートスポット(シュガースポット)が浮かび上がってきたのを確認してから、食べてます。
世間の定める新鮮さは全く無くなったものの、柔らかくて、甘くて、ホントにとても美味しい「栄養」の物質と化しますからね。(というか、買ってすぐの“あんな状態のバナナ”を食べている人なんているんでしょうか? σ(´、丶) ??)
その他、とにかく「発酵」についても興味津々で、ミソ・納豆、お茶、酒、パン、ヨーグルト、キムチ‥。
なにより「腐りかけの肉こそが一番美味い」とか。(厳密には「腐りかけ」ではなく「熟成」の話ですが)
「50度洗い」でいくら新鮮みを取り戻したところで、有効かも?と思えるのは「野菜の生でサラダとして食べる場合」のみ。
果物は上記のバナナの例のごとくに基本、しばらく放置したほうが何でも美味しいし、その他の具材である「50度洗い」した肉や魚、これをまさか生のまま食べるはずはないわけで。
となると、結局美味い(旨い)料理となるかどうかはその後の調理法次第だろ?ということで、昔も今もあまり興味がありません。
「アサリの50度洗い」で”砂抜き”が5分で完了
この方法は「アサリ」のみならず、「シジミ」「ハマグリ」にも応用可能です。
正式な「アサリの50度洗い」での砂抜き方法
50度のお湯で2~3分洗って砂を吐かせたあと、冷水で冷やします。
前準備 : ボウル・温度計・お湯
・ボウルに50度のお湯(45度から52度くらい)を満たす
(注 : 43度以下になると菌が繁殖、60度以上だと釜ゆでになるそうです)
・2~3分程度待ってすべてのアサリの口が少し開いたところで、50度のお湯の中で1分ほどこすり洗う
(注 : 温度が下がってしまわないことに留意だそうです)
・冷水に浸して、水気を切って完了
わざわざ温度計まで用意して‥?
簡単な50度のお湯の作り方
例えば1000ml(1リットル)の50度のお湯を作りたければ、沸騰したお湯と水、それぞれ500mlを加えれば「大体50度」になります。
厳密に言えば季節の問題やら、もっと言えば標高によっても変化するものの、「大体50~55度」のお湯になります。
本来ならば「温度計を見ながら水を足して45~52度のお湯にする」という流れながらも、こんなことやってられますか?
「43度以下になると菌が繁殖、60度以上だと釜ゆで」とかいう脅し文句に欺されて。
しかも、50度のお湯ってのは相当熱いです。
おそらく素手でアサリをこすり合わせるなどいう作業は不可能でしょう、たぶん。
なので、同等の作用を再現したいのならば例えば「ハシ」ではなく「すりこぎ」などを使用するのがベストだと思います。
正式な砂抜きアサリと「50度洗い」の砂抜きアサリの違い
前述の貝料理専門店の店主によると、正式な砂抜きが終わった後にさらに1~3時間常温で放置しておくと、旨味成分である「コハク酸」が数倍にアップするそうです。
が、「50度洗い」されたアサリは超短時間での砂抜きに成功したものの、一度熱を加えられたことで傷みやすくなっているので、放置はせずにすぐに調理するようにとのことです。
砂抜き中のアサリに「味の素」を加えたら?
かの2ちゃんねるに「アサリの砂抜き + 味の素」という興味深いスレを見つけました。
実際どうなると思いますか‥?
その答えは「のびのびしててワロタ」だそうですw
(画像をクリックすると拡大します)
砂抜き中のアサリに味の素一振りして見たらのびのびしててワロタ
<■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています>
ということなので、プラグイン導入等の対策をしていなくて全文を見られない設定の方のために、まとめとしての以下のページをご紹介。
【画像】砂抜き中のアサリに味の素を一振りしたらめっちゃのびのびしててワロタ
その後の画像。
(画像クリックで拡大)
酒飲みの私としては「健康」の面からも「アサリ」大好き。
「シジミ」も当然好きながら、身を取り除くのが面倒というのに加えて、スーパーで買うものは(?)どういうわけか「ドブ臭」 = 「ヘドロ」のニオイが漂っているように感じるので避けています。
いずれにせよ、アサリの潮干狩り、無くなったりしなければいいんですが‥。
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