先日、黴雨と梅雨と殺人カビ / お見舞いに「花」は御法度という話 という記事では「殺人カビ」について取り上げました。
今回は「殺人ダニ」について触れたいと思います。
そして、またもや「シンドローム(症候群)」についてです‥。
どう見てもやっぱり世の中、もはや「シンドローム症候群」に罹っていますよね??
(参考 : 「メタボ」は知ってる? では「ロコモ」は?? 世の中もはや「シンドローム症候群」)
「パンケーキシンドローム」&「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」
「パンケーキシンドローム」は「コナヒョウヒダニ」
「パンケーキシンドローム(pancake syndrome)」とは、1993年(平成5年)に海外において初めて報告された症例で、パンケーキ・ホットケーキ・パウンドケーキ(日本においてはお好み焼き粉・たこ焼き粉)などの「ミックス粉」等の粉製品に混入した「アレルゲン」である「コナヒョウヒダニのフン」を経口摂取することにより、重症のアレルギー反応「アナフィラキシー」を呈することを言います。
●「ミックス粉」=「プレミックス」とは?
(いつものことながら)個人的には全く聞いたことのない「日本プレミックス協会」という組織によると、
プレミックスとは、Prepared Mix(調製粉)の略で、スーパーマーケットなどの店頭で販売されている、ホットケーキミックス、天ぷら粉、から揚げ粉、お好み焼き粉、ケーキミックスなどが、家庭用プレミックスの代表的なものです。
当協会では、「プレミックスとは、ケーキ、パン、惣菜などを、簡便に調理できる調製粉で小麦粉等の粉類(澱粉を含む)に糖類、油脂、脱脂粉乳、卵粉、膨張剤、食塩、香料などを必要に応じて適正に配合したもの」と定義づけています。
とあります。
有名どころ日本製粉株式会社(NIPPN)のHPでは「ミックス粉」として以下のようなオーマイシリーズ製品が紹介されています。
つまりは、「調整剤」が加えられたことでただの小麦粉ではなくなった「栄養の塊」をエサとして「コナヒョウヒダニ」が増殖していくということです。
●「アレルゲン」とは?
そのアレルギー疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原性(抗体と結びつく原「みなもと=源」となる性質)を持つ、アレルギー症状を引き起こす原因となる物質のこと、です。
一般的には「アレルギー物質」とも呼ばれています。
近年「アレルゲン」を含んだ商品は、消費者庁によりその表示が義務づけられています。
こんな感じの分かりやすいイラスト付きの表示、見た方も多いのでは??
(画像出典 : 新しい食品表示基準でのアレルギー表示)
が‥実はこれが少々「くせもの」でして、我々を混乱させる原因ともなっています。
というのも、消費者庁が「アレルギー物質を含む食品に関する表示指導要領」で指定している「アレルゲン」は、「えび」「かに」「小麦」「そば」「卵」「乳」「落花生」の「7品目」。
が、一方、厚生労働省は「食物アレルギー」 にて、「鶏卵」「牛乳」「大豆」「小麦」「米」を「5大アレルゲン」として挙げています。
結局のところ‥「7」なの‥? 「5」なの‥?? どっちなの‥???
これぞ、いわゆる「縦割り行政」の最たるモノ‥。
まあ、我々一般人が最も目にするであろうものは消費者庁による発布の方でしょう。
なので、「消費者庁の勝ち」w
ということで、以下の資料もご紹介しておきます。
「アレルギー表示とは」(by 消費者庁)
「お役所仕事そのもの」のなかなか見づらい資料ですが、「表示を奨励」の「20」品目(「あわび」「いか」「いくら」「オレンジ」「カシューナッツ」「キウイフルーツ」「牛肉」「くるみ」「ごま」「さけ」「さば」「大豆」「鶏肉」「バナナ」「豚肉」「まつたけ」「もも」「やまいも」「りんご」「ゼラチン」)の情報等、肝心なことは全て詰め込まれています。
●「アナフィラキシー」とは?
全身に現れる短時間での激しく重度なアレルギー反応のことで、命に関わることも多い重篤な症状です。
症状としては多岐に渡り、「呼吸困難」「じんましん」「皮膚の赤み」「かゆみ」「くしゃみ」「鼻づまり」「腹痛」「下痢」「嘔吐」「動悸」「血圧低下」「血管性の浮腫(口唇、顔面、首、のどが腫れる)」「意識低下」などなど‥。
とりあえず治まった後にも再び症状が現れることもあるため、要注意です。
これについては、過去記事の
でも触れています。
●「コナヒョウヒダニ」とは?
(画像出典 : 小麦粉や片栗粉の保存方法)
日本での実例としては、開封済みの「プレミックス製品」である「お好み焼き粉」を常温で数ヶ月(もしくは数年に渡って)放置、再びこれを調理して食べたところ「アナフィラキシーを発症」、その「お好み焼き粉」を調べてみたところ、1g当たりに1万匹以上のダニが検出された、というもの。
「コナヒョウヒダニ」(チリダニ科)の体長は0.25~0.4mm。(イカリ消毒)
この大きさで「1g当たりに1万匹以上のダニ」となると、ジーッ‥と見てると一匹一匹の姿は確認できなくても、「ミックス粉が何やらうごめいている‥」と、その存在くらいは確認できそうなレベルだと思うんですけどね‥? 気持ち悪っ‥。
それはともかく、「お好み焼き粉」を調理して熱を加えたのに「コナヒョウヒダニ」は死なないのか‥? については、実は、死んでしまいます。
が、それでも「アレルギー物質」は残り続けます。
よっての「アナフィラキシー」ということです。
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」 は「マダニ」
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」(以下、「SFTS」)は、2011年に発表されたダニ媒介性の感染症で、国内においては2013年1月に初めて、「マダニ」媒介性の「SFTS」として海外渡航歴のない患者が確認された新興のウイルス感染症のこと、です。
国立感染症研究所 による国内分布調査結果では、すでに2014年時点で、九州・四国・中国・近畿地方の13県(兵庫、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎及び鹿児島県)に患者が発生しています。
感染経路は「マダニ」(フタトゲチマダニなど)を介したものが中心ながら、感染者の体液(血液等)との接触によるヒトからヒトへの感染も報告されているそうです。
(画像出典 : 犬によくつくダニのこと。。。マダニとは!? )
フタトゲチマダニ : 体長は2~3mm程度。「吸血」後には体重は100倍超にもなり、体長もすると10mmほどになります。
血を吸った後のフタトゲチマダニ。(by wiki)
ビフォーアフター、「吸血前」と「吸血後」。
「SFTS」ウイルスに感染すると主な症状としては、6日〜2週間の潜伏期間の後に「発熱」・「消化器症状(食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、下血など)」・「神経症状(頭痛、筋肉痛、意識障害、失語)」・「リンパ節腫脹」・「皮下出血」などが見られます。
治療は対症療法のみで、有効な薬剤やワクチンはありません。
致死率は6.3〜30%。
上記、国立感染症研究所 のデータ(2017年5月30日現在)を併記しておきます。
生存例 | 死亡例 | 合計 | ||
報告数 | 194 | 56 | 250 | |
性別 | 男 | 90 | 28 | 118 |
女 | 104 | 28 | 132 | |
年齢 | 中央値 | 71.5歳 | 80.5歳 | 73歳 |
~20代 | 2 | 0 | 2 | |
30代 | 4 | 0 | 4 | |
40代 | 4 | 0 | 4 | |
50代 | 13 | 3 | 16 | |
60代 | 62 | 10 | 72 | |
70代 | 55 | 14 | 69 | |
80代 | 49 | 25 | 74 | |
90代~ | 5 | 4 | 9 |
注)死亡は感染症発生動向調査の届出時点の情報であり、経過中の死亡は報告されていない可能性がある
「死亡例」の「年齢」の「中央値」からみると、「80.5歳」。
「有効な薬剤やワクチンはありません」やら「致死率は6.3〜30%」などと恐怖を煽っているものの、結局「死」にまで至るのはご老人が中心だと考えてもよろしいのかと‥。
真の悪者は「マダニ」ではなく、「SFTSウイルス」である
以前の記事、「キツネカフェ」は危険!! 恐怖の寄生虫・エキノコックス を例にとってみますと、悪者は「キタキツネ」ではなくて、寄生虫の「エキノコックス」ですよね?
これを踏まえて、今回の「SFTS」においての真の悪者は「マダニ」ではなくて「SFTSウィルス」です。
「キタキツネ」は「可愛い動物」だからなんにも言われないけど、「マダニ」は嫌われ者のただの「虫」だから“殺人生物”って‥。
おかしくないですか??
そもそも「マダニ」は単に、この世に存在する“吸血生物の一部”です。
決して「マダニ」が“殺人”を犯しているわけではなくて、また全ての「マダニ」がウィルスを保有しているわけでもなく、何より真の犯人は「SFTSウィルス」です。
というこの構図‥なんか昨今話題の「キリスト教」と「イスラム教」の関係に似てませんか‥??
本質を見極めることはとても大切ですね。
(念のためですが、「決してイスラム教徒をダニ扱いしているわけではありません」という注意書きは一応添えておきます(添えておかなければならない状況なんでしょうから)‥)
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