皆さんご存じの、前にハサミ、尾っぽには毒針を持っている「サソリ」。
このフォルム‥。何とも芸術的でカッコイイですよね。
実はこの「サソリ」、そのハサミと見た目からも、陸に棲む甲殻類(エビやカニなど)の仲間??と思われがちですが、実際にはクモの仲間に近く、「節足動物門 鋏角亜門 クモ綱サソリ目 」に属しています。
しかもそのハサミ、「前脚」ではなく「触肢(しょくし)」と呼ばれる「昆虫・クモなどの口の周りにあるヒゲ」であり、「触角」でもありません。
実際の「脚」は4対の8本で、第1対目が一番短く、後ろの脚ほど長くなります。
【サソリとタランチュラ】(画像クリックで拡大)
さらに「サソリ」のハサミ、エビやカニの甲殻類の可動爪が上側(内側)なのに対して、「サソリ」のそれは下側(外側)であるのも大きな特徴です。
【エビのハサミ】(画像クリックで拡大)
【カニのハサミ】(画像クリックで拡大)
【サソリのハサミ】(画像クリックで拡大)
日本に棲息している2種類の「サソリ」
いよいよ本題、「日本にも「サソリ」が棲息しているってホント??」について。
その答えは、もちろん「YES」。
「ヤエヤマサソリ」と「マダラサソリ」の2種類が棲息しています。
「ヤエヤマサソリ」
(画像出典 : from SCRATCH ←購入できます)
(画像出典 : 好奇心Oh!say! ←飼育を始めたそうです)
「ヤエヤマサソリ」は体長3cm程度の小型のサソリです。
かわいい‥p(´⌒`;)
英語で調べたい人は「dwarf wood scorpion」でどうぞ。
ちなみに、世界最大のサソリはアフリカに棲息しているダイオウサソリ(エンペラースコーピオン)で、最大でその体長は20cm以上にもなります。
(画像出典 : 爬虫類ライフ ←販売しています)
「ヤエヤマサソリ」は東南アジア、オセアニア、オーストラリアなど広く分布しており、日本では沖縄県の八重山諸島に棲息しています。
(※八重山諸島(列島) = 石垣島・与那国島・竹富島・西表島・波照間島など。)
主に森林に生息するサソリで、枯れ木や朽ち木の隙間や樹皮の下などに住んでおり、エサは小型の昆虫で飼育環境下ではミルワームやコオロギ、もしくはハエ・シロアリなどをよく食べます。
「ヤエヤマサソリ」は産雌単為生殖によって繁殖が可能であることが知られています。
単為生殖とは、メスが受精を伴わない卵子を産み、それが孵って個体となる生殖のことで、産雌単為生殖とは、オスがいなくてもメスがメスのみを産んで繁殖することをいいます。
世界で1000種を超えるサソリの中でも単為生殖を行うのは「ヤエヤマサソリ」を含めた7種類だけという、非常に特異な存在です。
サソリ類は卵胎生と胎生の種類に分けられ、胎生である「ヤエヤマサソリ」はそのままの形の幼生を産みます。
生まれた幼生たちはメスの体の上に登ってその背中でしばらく過ごし、1週間~10日ほどでそれぞれ分かれて自立した生活を始めます。
(画像出典 : 好奇心Oh!say! )
苦手な人にとっては結構グロい画像ですので敢えて小さく表示しました。
画像クリックで拡大します。
さて、サソリといえば気になるのが毒だと思いますが、「ヤエヤマサソリ」=「無毒」とされるほどにその毒性は極めて弱く、ニンゲンがその毒の被害を受けることはまずありません。
どころか、「刺された」という例を聞くことすらもほとんどなく、仮に「刺された」ところで軽く痛みを感じる程度とされています。(どころか「毒針が小さすぎてニンゲンの皮膚を突き刺せない」とも。何ともかわいい‥)
これは、その毒が大型の天敵からの攻撃の防御のために備えられている武器ではなく、あくまでもエサである小型の昆虫類等を捕殺するために用いられていることを示しています。
実際にこの種のサソリの毒からは、とりわけ昆虫に対して特化した有効な成分が複数発見されているそうです。
マダラサソリ
(画像出典 : ありんこ日記 AntRoom 左「マダラサソリ」・右「ヤエヤマサソリ」)
「マダラサソリ」は体長6cm程度のサソリです。
かわいくない‥ヽ(;`Д´)ノ
英語で調べたい人は「lesser brown scorpion」でどうぞ。
「マダラサソリ」は日本国内では沖縄県の八重山諸島(石垣島、西表島、波照間島、与那国島など)に自然分布、小笠原諸島(父島、母島、硫黄島)に人為分布しています。
(ただし父島、母島においては、外来種であるオオヒキガエルのエサとなってしまったのか、もう何年も目撃されたという話は聞かれないそうです。(ゴキブログ))
世界中に最も広く分布しているサソリとして知られており、赤道付近を中心とした熱帯・亜熱帯に地球を一周するように分布しています。
ハワイに唯一棲息しているサソリとしても有名ですが、その多くが人為分布によるものと言われており、持ち込まれた木材とともに棲息域を広げたのではないかと考えられているようです。
「ヤエヤマサソリ」が森林などの湿度の高い環境を好むのに対し、「マダラサソリ」は比較的乾燥した場所の樹皮の裏や岩場の隙間などに生息しています。
エサはシロアリなどの小型の昆虫、飼育ではレッドローチ(エサ用ゴキブリ)、ピンヘッド(コオロギの幼生)が一般的。
「マダラサソリ」も胎生なので、生まれた子供たちは母親そっくり、その背中で1週間~10日ほど過ごした後に独立します。
(画像出典 : 土を飼う 画像クリックで拡大。グロが苦手な人は注意)
さて、毒についてです。
「マダラサソリ」の毒もまた「ヤエヤマサソリ」同様毒性は弱く、症状も患部が赤くなる程度。
刺された際にはそれなりの痛みは感じるものの、ミツバチに刺された方がよっぽど痛いというくらいの程度のようです。
というか、そもそも「マダラサソリ」は非常におとなしく、普通に触れたりつまみ上げたくらいでは刺そうとすらしてきません。(この点において感じる”日本人”らしさ‥かわいいですね‥)
“コレ”を見て‥。
“コレ”を連想してしまうのは私だけでしょうか‥??
どちらもカッコイイ‥。
シルエットでもこのカッコ良さ‥。
サソリは4億3千万年以上前の古生代に存在していた事が確認されています。
古生代(約5億7000万~約2億5000万年前)といえば「三葉虫」や「アンモナイト」が登場した時代です。(ちなみに“生きた化石(living fossil)”ながらも最強の嫌われ者である「G」(ゴキブリ)も3億年ほど前の古生代に出現しています。)
【化石のサソリ】
【琥珀のサソリ】
※琥珀(こはく)‥数千万年~数億年前の樹木の樹液が化石化したもの。
映画「ジュラシックパーク」は「琥珀」に閉じ込められた「蚊」から恐竜のDNAを抽出、クローンとして現出させる、というシナリオでした。
さて、我々人類。
これまでは最古の人類「アウストラロピテクス(アウストラロピテクス・アファレンシス= Australopithecus afarensis)」(約390万~約290万年前に存在)だと習ってきましたよね??
が、現在では「サヘラントロプス(サヘラントロプス・チャデンシス= Sahelanthropus tchadensis)」(600万年~700万年前のアフリカ中部に棲息していた霊長類)だそうです。
ま、このことについては今回はこちらに置いておくとして。
我々「人類」の出現となると地球の歴史からは新生代(約6500万年前~現代)での出来事。
しかも、その定義の内での直近の1/10、600万年だけを占めているだけの存在です‥。
というか‥「サル」≠「人類」=「ニンゲン」=「現代人」だとするならば、せいぜい数千年、ってとこです。
「ニンゲン」って‥もっと謙虚にならなきゃいけないんじゃないでしょうか‥?
これからも「この地球上で種を保存し続けたいのであれば 」ですけど?
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