オオカミは何を食べているのか?
食物連鎖の頂点に立つ肉食動物のオオカミ。
そのエサは生息している場所に依存しているものの、野生のシカ・イノシシ・ヤギなどの動物を食料としています。
大陸の北方地域では、ムース、エルクといったヘラジカ、カリブー(トナカイ)などの大型動物をエサとしています。
【ヘラジカ】
【カリブー(トナカイ)】
こういった大きな獲物が見つからなければ、より小さな動物を食物としています。
さまざまな種類の哺乳類、鳥類、ヘビ、トカゲ、カエルなどに加え、エサが少なくどうしても見つからない場合にはある種のフルーツや植物をも食料としています。
また人間の生活圏内に入り込んで人家の残飯を漁ったり、犬や猫などの家庭用ペットをエサとすることも知られていて、こうなると当然、家畜であるヤギやウシも襲います。
人間にとっては身近で大切な存在である動物たちも、オオカミたちにとってはどれもただの獲物の中のひとつです。
オオカミはどれくらいの肉を食べるのか?
オオカミのその食べる肉の量は半端なくて1回の食事で最大で9kgもの大量の肉を食べることができます。
ちなみに、レストランで2kgのステーキを注文するとこんな感じになります。
しかしこれはあくまでもその能力を持っているというだけで、大自然の中、日常的にそれだけの量の食事にありつくことなど、不可能です。
だからこそ狩りに成功して獲物を仕留めたときには、得られるものはすべて得る、食べられる時に出来るだけ多く食べておく必要があるため、一度に大量の肉を食べられるのです。
オオカミたちは肉を引き裂くための鋭い犬歯、骨をかみ砕くことができる平らな臼歯を持っています。成熟し、大人になった時点で42本の歯があります。(犬の歯の数も42本)
ちなみに、ニホンザルの歯の数は32本で、人間の永久歯が4本の親知らずを含めて32本。
加えてオオカミは非常に強力なアゴを持っています。
その「噛む力」はアメリカで放送されたテレビ番組での検証によると184kg。イヌは平均149kgで、ホホジロザメが303kg、クロコダイルは2,268kg 、人間は58kg‥。
この「噛む力」、身を守るための敵との戦いやエサを狩る際に必要な能力で、「噛んで、掴んで、離さない」ことを意味していることが良く分かりますね。
オオカミはどのように狩りをするのか?
オオカミはほとんどの場合は時速10kmほどの早走りでトレッキング行動をとっていますが、狩りの際には最高で時速70kmもの速度出すことが可能で、そのまま20分間走り続けることができ、時速30kmでなら7時間以上、一晩中でも獲物を追い続けることができます。
オオカミは群れで集団行動をとって狩りを行い、自分たちよりはるかに身体が大きくて力の強い動物に狙いをつけて待ち伏せ、包囲し、獲物を追い詰めていきます。
オオカミたちは健康で丈夫な獲物を狩ることもできますが、厳しい自然社会の掟、年老いたもの、幼いもの、弱っているもの、足の遅いものに狙いをつけ、襲います。
無理な攻撃は仕掛けずにひたすら追い続け、獲物の衰弱をずっと待ち続けます。
ついに力尽きて一斉に襲いかかられ、瀕死の重傷を負って倒れてしまった獲物は、餌食になるまいと最期の攻撃を必死に仕掛けてきます。気をつけなければならないのは、その渾身の蹴りを頭や腹に一発でも喰らえば、その体格差からも大きなケガどころか死に至るような致命的なダメージを負ってしまいます。
オオカミたちが非常に注意深くて考え抜かれた狩りを行う理由はここにあり、この危険を防ぐために倒れて弱り切っている獲物に対しても、遠ざかってある程度の距離を保ちながら注意深く見つめ、その最期の瞬間を判断するまでは安全で適切な場所に位置しようと行動します。
これほどのパワー・スピード・英知を誇るオオカミたち、一度ターゲットとして捉えられてしまったが最期、もはや運命は決まったようなものと想像してしまいがちですが、狩りが必ず成功するとは限りません。
過去に観察された狩りの報告例からは、狩猟成功率は50%台と考えられています。
実はオオカミたちは狩りの途中で追いかけるのを諦めてしまう事が多く、ターゲットに逃げられてしまうことが少なくないのです。
ただし、成功率を5%とする報告もあれば、巨大な群れともなればほぼ100%という場合もあるなど、オオカミの狩猟成功率は生息密度やその環境によって大きく左右されるものとは言えます。
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