上記、言うまでもなく「クジラ」のイラストですね。
では、「クジラ」と聞いて、以下のどちらをイメージしましたか??
前者は「ナガスクジラ」で、後者は「マッコウクジラ」です。
私の場合(その昔ゲーム会社で「絵」の仕事をしていたこともあって)、もしも「クジラ」の「絵」を描けと来たなら間違いなく、冒頭のイラストにもあるように「ナガスクジラ」の方を選択します。
もっとも伝わりやすいですからね。
けれども、子供の頃に図鑑で見た「マッコウクジラ」VS「ダイオウイカ」のこんな感じの「絵」。
(画像出典:http://blog.princehotels.co.jp/aquastadium/news/viatualride-ika.html)
こちらの「マッコウクジラ」も、どうにも捨てがたい‥。
映像 : 『マッコウクジラ VS ダイオウイカ』
あなたはどっち派ですか??
ということで、少々掘り下げていきたいと思います。
クジラとは?
「クジラ」とは、生物の分類上ではクジラ目に属している動物で、「ヒゲクジラ亜目」と「ハクジラ亜目」の2つに分けられています。
「ヒゲクジラ」は、上あごに生えている「ヒゲ」=「鯨鬚」(くじらひげ。「ひげ板」長さは一枚70cm以上)と呼ばれる器官を使って、小魚やオキアミ、コペポーダ等のプランクトンなどの「小さなエサ」を大量に濾(こ)し取って(濾過摂食)、食べます。
(画像出典 : wiki)
対して、「ハクジラ」は「歯」を持っており、主に魚類、特に深海に棲んでいる「イカ」類(「ニュウドウイカ」「アカイカ」「ヒロビレイカ」「ツメイカ」「ウロコイカ」「サメハダホウズキイカ」「テカギイカ」「ダイオウイカ」)などを食べています。
ナガスクジラ
「ナガスクジラ」(長須鯨) は「ヒゲクジラ亜目」に属しています。
その中でも「世界最大の動物」が「シロナガスクジラ」(白長須鯨)。
現在においてだけではなく、個体としてはこれまでに地球上に存在していた恐竜を含めた全ての生き物の中でも最大。
体長34メートルのものまで確認されているとのこと。
(これは、およそ11階建てのビルと同じサイズです)
となってはいるものの、「ルヤンゴサウルス」は全長約38メートル‥。
(参考 : 「ギガ恐竜展 2017 地球の絶対王者の謎」より)
英語では「Blue Whale」と「青」なのに対して、 日本では「白」。
長須とは長身の意味で、海上に浮かび上がる際に水上からは白く見えることからと「シロナガス」となりました。
体重は80~190トン。
寿命は100年~120年。
泳ぐ速度は最高で時速48km。
潜水深度は200~500メートルほど。
(出典 : wiki)
上あごと下あごは軟骨で繋がっているだけなので、直径10メートル近く口を開くことができます。
「ガー」と口を開いて海水とともに「エサ」を取り込み「ヒゲ」で漉して「ゴクリ」。
上図の通り、体型は流線型で、頭部は尖っています。
細くて長い胸びれ、横に広がった薄い尾ひれ、背中の後方に小さな背びれを持っています。
体表は淡い灰色と白のまだら模様、ノドから胸にかけて白い縞模様になっています。
「シロナガスクジラ」は最も大きな鳴き声をあげることができる動物でもあります。
低周波の大きなうなり声の音量は180ホンを超えるそうで(ジェット機エンジン音が約130ホン)、この鳴き声で仲間とのコミュニケーションを行っていて、150km以上も離れた相手とも連絡をとる事が可能なんだとか。
(参考 : シロナガスクジラの鳴き声。Blue Whale Song )
現在、その捕獲は全世界で停止状態にあって、個体数は年々増加し続けているものの総計で1万頭前後と非常に少なく、絶滅危惧種に指定されています。
マッコウクジラ
「マッコウクジラ」(抹香鯨) は「ハクジラ亜目」に属しています。
標準的なオスの体長は約16~18メートル、メスは約12~14メートル。
「歯」を持っている動物の中では世界最大最大の種類で、成長したオスには体長20メートルを越えるものもいます。
英語では「Sperm Whale」。直訳すると「精液クジラ」。
「精液のような液体である「鯨蝋」(げいろう。頭部から採取される白濁色の「脳油」)が採れるクジラ」です。
日本名の「マッコウクジラ」、漢字で書くと「抹香鯨」。
「マッコウクジラの結石」である「龍涎香(りゅうぜんこう)」は、古くから「香料」「医薬」「媚薬」として珍重され、現在でも金の価格の4倍ほどもするという超高級品。(こちらのサイトでは「3ml」の龍涎香のピュアオイルが「29,500円」で販売されています)
この「マッコウクジラ」の「龍涎香」の香りが、「抹香」(まっこう。仏前の焼香に用いられる粉末の香料)に似ていることから「抹香鯨」と呼ばれています。
体重はオスは50トン、メスが25トンと、2倍ほども違います。
寿命は約70年ほど。
泳ぐ速度は時速22km。
注目すべきはその潜水能力で、その深度はなんと3000メートル。
ただし2000メートル以上の深さになると、「イカ」などのエサの数が少なくなるため、敢えてそれ以上に潜ろうとするとは考えにくいとされています。
つまり、もしも本気を出せば一体どこまで記録を伸ばせることやら‥。
声帯はなく、ノド・鼻腔で高周波音を発し、これを頭部にある「メロン(メロン体)」と呼ばれるレンズの機能をもつ器官で屈折・収束させ、指向性の高い音波を発するとされています。(イルカやシャチもこの器官を備えています)
その機能については完全には解明されていないそうですが、反響定位(=エコーロケーション(echolocation)。自らが発した音や超音波の反響受け止め、物体との距離・方向・大きさなどを知ること)に使われ、障害物を探知したり獲物を捜索したりします。(反響定位については「コウモリ」が最も有名ですね)
(出典 : wiki)
体型の特徴としては、その巨大な頭部の形状が挙げられます。
下アゴにのみ「歯」が生えています。
(鯨歯のアクセサリーとしてこんなものが売られています。って、高っ‥。
こちらの方がよほど価格も良心的だし、デザインにも優れていますね)
また、他種の大きな「クジラ」のほとんどが滑らかな皮膚をしているのとは対照的に、背中の皮膚はデコボコしていて、加えて、エサである「ダイオウイカ」との格闘の結果、硬いノコギリ状の歯が付いているイカの吸盤よる傷跡を刻み付けられます。
体色は黒から茶色掛かった灰色。
背びれは短い二等辺三角形の形状で前から3分の2の場所に位置し、尾びれは三角形で非常に厚く、胸びれは幅の広いヘラ状。
外務省のワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約) によると「マッコウクジラ」は、
持続的利用が可能なだけの資源量があるとの客観的理由に基づき,従来から附属書Iに掲載されていること自体科学的根拠がないと判断しており,今後かかる状況が変化しない限り留保撤回の考えはない。
とのこと。
つまりは、今後も捕獲し食べ続けてても問題ないと考えている、ということですな?
以上、「クジラ」についてでした。
今回は「ナガスクジラ」と「マッコウクジラ」についてのみ取り上げましたが、 現生のクジラ類(Cetacea)はおよそ80種にも及んでいます。
(画像出典 : wiki ) 画像クリックで拡大。
「クジラ」も ほ乳類ですので鼻孔(噴気孔)を持っていて、ちゃんと肺呼吸をしていますし、魚類とは違って体温も水の温度に左右されることなく一定(およそ35度~36度)を保っている恒温動物です。
赤ちゃんも母体の子宮内で成長し、出生後は一定期間母乳で保育されます。
その他、「クジラの知性」(指導・学習・協力・計画・苦悩等々)についてなど、調べれば調べるほど面白く、興味の尽きない動物です。
ちなみに過去記事、【角付き潜水艦 ・海のユニコーン【イッカク】 あれこれ全部まとめてみた】 の「イッカク」も「クジラ」の仲間です。
興味のある方は是非とも‥。
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