水難事故・水の事故 泳げる人が溺れて溺死? -その1-

夏になると必ず報道されるのが、川、海、プール等での“水の事故”

現在は溺れてしまった際、「背浮きしたままで救助を待つ」というのが常識になっていますが、実際にやってみるとこれが意外に難しい。

衣類を身につけたままだと普段の感覚とはまるで違っていて、身動き一つ取るにしてもなかなか思うようにはいきません。
クツが浮いてしまって、顔を沈まされるような感覚に襲われたりもします。

わざとやってみてもこうなのですから、不慮の事故等でいきなり水中に放り込まれるとなれば、ケガをしている場合もあるでしょうし、きっと焦るだろうなと思います。

ましてや泳げない人が‥と想像すると、パニックに陥り、もがき、更に水を飲み、体力を消耗し‥という最悪の結果へ向けての一連のプロセスが容易に想像できます。

鼻から水が入ると、泳げる人も危険「錐体内出血」

子供の頃の思い出‥プールに飛び込んで鼻から水を飲んでしまって“ツーン”としたり、時には耳まで“キーン”と痛かった、ということがあったことが思い出されます。

実はこの状態、非常に危険だったようです。

身体の平衡感覚をつかさどっている器官・「三半規管」は耳の一番奥の“内耳”にあって“錐体”という骨に取り囲まれており、“リンパ”という液体が流れています。

頭が傾くと「三半規管」の中にある“リンパ”が流動し、その動いた方向や速さを認識する仕組みになっています。

水に飛び込んだ瞬間、呼吸のタイミングを間違えて等、泳ぎが得意な人鼻から水を吸い込んでしまった場合、その水が“耳管”(耳と鼻をつなぐ管。気圧の変化で違和感を感じてツバを飲み込んだりアクビをしたりして、いわゆる“耳抜き”をするアソコ)という細いパイプに入ってしまって管をふさぎ、水の栓ができてしまいます。

その後のゲホゲホとやったりオエオエとやったりハアハアとやったりすることで、その水の栓“耳管”の中でピストン運動を始めることとなり、その気圧の変化によって“錐体”の中の毛細血管がバリバリと剥がされ、出血を起こすことになります。

これが「錐体内出血」です。

 

出血が起こってしまうと“三半規管”はうまく機能しなくなり、意識は正常にあるまんま、どちらが上で下なのか、立っているのか宙吊りになっているのかさえも分からないくらいに平衡感覚が失われてしまいます。

水の中で。

もはやこうなってしまうと泳ぎが上手か下手か、水泳選手のように普段からどれほど鍛えているかなんかも一切関係なくなり、溺れてしまいます。

「錐体内出血」そのものは“めまいが起こる”という程度であって、決して致命的なものではなく、また意識がなくなるということもないそうです。
(だからこそ余計に溺れた際には恐ろしい‥。“死”へのジワジワ感が‥)

“めまい”はしばらく続くものの、1~2週間で出血は吸収されるので症状は徐々におさまるとのことですが、不安を感じるのであればやはり病院へ‥が基本だと思います。

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