報道によると、「トイレットペーパーを三角折にしないでください」と書かれた貼り紙が病院のトイレに掲示されているとツイッター上で報告があったと話題になっています。
これって‥。
もう大昔から、その制作状況を想像するに、どう考えても「汚い」として確定しているはずの話なんですけど‥?
なんで今更‥??
ポイントは「病院のトイレに掲示」されていたということ。
「用を足した後の手を洗う前に、トイレットペーパーを折ると、便中や尿中(感染している場合)の細菌などの微生物が付着し、細菌感染する可能が高くなることがあります」
お見事な対応、素晴らしい病院ですね。
ノロウィルスの脅威
通常、「消毒」となると真っ先に思いつくのは「アルコール」ですよね?
しかしながらノロウィルスはノンエンベロープウイルス(後述)であるため、「熱」や「乾燥」「アルコール」に耐性をもっており、死滅しません。
なので、まともな食品工場では「アルコール」はもちろん、「逆性石鹸」や「ポビドンヨード」「次亜塩素酸ナトリウム」という、恐らく普段の生活においては全く耳にしたこともないであろう消毒剤が実際に活用されています。(逆に言えば、これらの消毒剤を使用していないような食品工場、認識があまりに低くて「ヤバい」ということです)
ノロウィルス感染症とは?
ノロウイルス感染症とは、乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に激しい下痢や嘔吐・腹痛などの症状を引き起こす急性の感染性胃腸炎のことです。
潜伏期間は12〜48時間。発熱は約37〜38℃の程度。
これらの症状は通常は1〜3日程度で治まって後遺症も残りませんが、大量のウイルス排出は10日間程度続くので感染させてしまう期間は長くなります。
ノロウイルス感染症の治療薬や有効な抗ウイルス剤もないため、対症療法が行われます。
毎年11月頃から流行が始まって12月から2月がピークとはいうものの、年間を通して発生します。
過去に感染していても免疫がつかないので、何度でも罹ります。
その原因となっているのが、「ノロウィルス」。
ノロウィルスは、1968年、アメリカのオハイオ州ノーウォークの小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の糞便から初めて発見され、その地名にちなんで「ノーウォークウイルス(Norwalk virus)」と命名されました。
2002年、パリで開かれた第12回国際ウイルス学会小委員会において、「ノロウイルス (Norovirus)」と呼ぶことが承認されました。
ノロウイルスは直径が約3万分の1mmという超小型のウイルスで感染力が非常に強く、しかもほんの10~100個ほどでも感染・発症します。
アルコールや乾燥・熱にも強いことに加え、自然環境下においても長期間その感染性を維持し、他の細菌とは違って食品中では増殖せず、ヒトの腸管内のみで増殖するという特徴があります。
しかも、感染していても症状が出ない「不顕性感染」というものがあり、何ら症状が見られないいものの患者と同量のウイルスを排出していることには変わりなく、知らず知らずのうちに他人に感染を拡げてしまう可能性があるという、非常に厄介なウィルスです。
(画像出典 : 5つの対策でノロウイルスをやっつけろ!ノロウイルス予防対策)
ノンエンベロープウイルスとは?
「ノロウィルス」は「ノンエンベロープウイルス」です。
「ノン(Non)」は「いいえ」の意味のフランス語。
「ノン」を削除してみると、「エンベロープウイルス」となりますね。
「エンベロープ」‥直訳では「envelope = 封筒、包み、おおい」。
つまりは、こういうことです。
(画像出典 : ノンエンベロープウイルスとは)
エンベロープという膜はその大部分が脂質からできているために、アルコールや石けんなどで容易に破壊、ウィルスを不活化することができます。
よって、一般的な「手洗い」や「アルコール消毒」で対処できるわけです。
一方、エンベロープを持っていない「ノンエンベロープウィルス」は、アルコール等の消毒剤のダメージを受けにくいため、口から侵入、胃酸や胆汁酸にも耐えて腸管への感染に至ります。
2017年2月21日、東京都立川市の小学校7校で給食を食べた児童や教職員、計1047人が食中毒に罹った原因はノロウィルス。
その食材は「刻みノリ」と特定されました。
なんと、乾燥・密閉状態の「焼ノリ」がノロウイルスに汚染されていたのです。
熱処理の行程を経て、その後の水も酸素も無い状況においても尚、生きている‥。
もしかすると「熱処理後の製品にウンコ拭いた手で直接触ったってこと‥?」というこの製造業者のコメントが以下の通り。
「昨年の12月前半、嘔吐や下痢などの症状が多少あったものの、ノリは乾燥して密封されているので大丈夫だと思っていた」
12月前半‥? で、発覚が2月‥??
なんとも恐ろしい生命力‥。
ノロウィルスの3大感染経路
汚染された二枚貝による感染
まともな(?)食品工場では「牡蠣(かき)を食べるな!」いう注意書きまであります。
(これって「風評被害」そのものじゃないんですかねぇ‥。牡蠣の産地、広島県のとある業者などは必死ですよ? ノロウイルスに関する情報 )
本来、牡蠣を含めた二枚貝はノロウイルスを持っていませんし、その内部で増殖することもありません。
二枚貝がノロウイルスを持ってしまうのは、ニンゲンがその生息場を汚染するからです。
前述の通りノロウィルスは、直径が約3万分の1mmという極小のウィルスで、ニンゲンの体内で増殖して糞便の中に数百万~数億個という単位で大量に含まれています。そのうちの10~100個程度でも感染症を引き起こします。
ノンエンベロープであるノロウイルスは便器を通って下水として下水処理場へ行き、そのごく一部は濾過(ろか)行程をも通り抜けて河川に放流され、海に流れ込みます。
海で養殖されている牡蠣や二枚貝は大量の水を吸いこんでエサであるプランクトンを取り込んでいるので、その内臓にノロウイルスが蓄積・濃縮されていきます。
内臓への蓄積であるため、その身や表面を洗っても除去はできません。
これらを生食、もしくは加熱が不十分な状態で食べての経口感染、という流れです。
食品取扱者を介しての感染
食品の製造者、飲食店における調理人、家庭で料理をする人がノロウィルスに感染していた場合、その食品は汚染されてしまい、これを食べることで感染します。
ノロウィルス感染症の症状は下痢・嘔吐。
ともに液状であることから手指に付きやすく、糞便1g当たりで1億個以上、嘔吐物では100万個以上のノロウィルスが存在します。
直径約3万分の1mmという極小サイズのノロウイルスは、手のしわの奥にまで入り込み、理論的にはしわの1mmの深さに2万5千個も並ぶことができるため、ほんの少量の糞便でも、たった10~100個程度でも、感染症を引き起こします。
こんな面倒な「ノンエンベロープウィルス」、アルコール消毒では効かない‥。
実際にはこのパターンのノロウィルス感染が最も多く、加熱後に素手で触れた食材としては「パン」「まんじゅう」「餅」「ケーキ」「和え物」等、生食としては「刺身」「寿司」「漬物」「サラダ」等が原因となっているそうです。
(参考 : (一財)食品分析開発センターSUNATEC )
乾燥してチリとなって食品を汚染
感染したヒトの糞便・嘔吐物に含まれるノロウィルスが乾燥してチリとなり、空気中を漂って食品、食器、調理器具等に付着することでノロウィルス感染症に罹ることとなります。
さすが‥アルコール・熱・乾燥にも強く、その感染力を長期間に渡って維持できるという能力を備えている、非常に微小のノロウイルス‥。
一旦、空中に漂よわせてしまうと簡単には落下せず、結果、広範囲に拡散することになって食品、食器、調理器具等に付着する、ということです。
ノロウイルスに感染・・汚物処理はどうすれば‥?
ひじょ~に分かりにくいです‥。お役所仕事‥。
分かりやすいものをご紹介。
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