「此ごろの 西日冷じ 曼珠沙華」
蓼太
「父若く 我いとけなく 曼珠沙華」
中村汀女
「仏より 痩せて哀れや 曼珠沙華」
夏目漱石
(「彼岸花」で終わる名作もあったような‥σ(´、丶) ??)
その昔‥。私が小学生の頃、そこら中に咲いていた「キリンソウ」 の茎を「刀」に仕上げて、これまたそこら中に咲いていた邪悪で不吉な「彼岸花」=「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」を切り倒してました‥。
「邪悪‥? 不吉‥?? 」
確かにそう教わったんだけど、どうしてなんだろ‥???
今更ながら、調べてみました。
「彼岸花」の別名
その代表は既出の「曼珠沙華」。
その読みの「まんじゅしゃげ(かんじゅしゃか)」は、サンスクリット語(古代インドの文学語。梵語。)の 「majūṣaka」を音写したもの。(ならば、「まじゅさか」「まじゅーしゃか」あたりなのでは?とも思うものの)
法華経などの仏教においての伝説上の天界の花で、「白くてやわらかで」「天人が雨のように降らし」「見る者の悪業を払う」といわれているお花のこと、です。
「曼珠沙華」というと冒頭の画像にあるような「真っ赤か」のイメージではないでしょうか?
実は、「白」も存在しています。(決して「やわらか」ではありませんが‥)
その他の別名・異名の数は、なんと1000以上!!
詳しく知りたい方は「ヒガンバナの別名(方言)」を見て頂くとして、有名どころをいくつかピックアップ。
死人花(しびとばな)
地獄花
幽霊花
火事花
雷花
毒花
痺れ花
剃刀花(かみそりばな)
狐花(「狐の嫁入り」に用いられることから。(どのように?については禁呪だそうです))
烏枕(からすのまくら。??これって「烏瓜(カラスウリ」のことじゃなかったっけ??)
捨子花(すてごばな。花(子)が咲く時、葉(親)がない = 親に捨てられた花)
はっかけばばあ (「歯欠けババア」。花として一番見栄えのいい時期に茎だけで葉っぱが欠けているから。ならば「歯欠け少女」じゃないの??)
葉見ず花見ず(はみずはなみず。花の咲く時期には葉っぱがなく、(花が散り)葉っぱのある時期には花がない。最高の日本語のセンス‥)
等々‥。
「彼岸花」の迷信
基本的に「彼岸花」にはハッピーなイメージの名前は付いていません。
何故か?
それは「有毒植物」だからです。
毒の種類は「アルカロイド」(リコリン・ガランタミン・セキサニン・ホモリコリン等)で、球根に多く含まれています。
食べると吐き気や下痢を起こし、重症の場合には中枢神経の麻痺を起こして死に至る場合も。
ただし一方で、有毒成分は水溶性なので徹底的に水で洗い流せば毒抜きができ、そうなると球根はデンプンのかたまり。飢饉や戦時の際の非常食とされたことがあります。
また、「彼岸花」は水田のあぜ道や土手、墓場に多く見られる印象がありますが、それはその毒を嫌うネズミ、モグラ、虫などを寄せ付けないため。
田んぼを荒らしたり、土手に穴を開けたり、土葬された遺体が掘り荒らされないようにと、人為的に植えられたため、だそうです。
以上が前置き ‥。
「彼岸花を家に持ち帰ると火事になる」
見た目の「真っ赤か」が、炎(=火事)を連想させる。
「彼岸花を摘むと死人がでる」
モグラなどに遺体を掘り起こされて死者が出てくる。
「彼岸花を摘むと手が腐る」
子どもたちを毒から守るために、触らせないようにした。
「彼岸花を摘んで帰ると親が早死にする」
上記を理由としての、まだまだ親の庇護が必要な子供たちへの脅し文句‥w
「彼岸花が咲くと台風がこない」
これは全くわからない‥。
そもそも名前の由来は台風シーズンまっただ中の9月中旬「秋の彼岸」(秋分を中日としての前後各3日を合わせた7日間)の頃に開花が始まることから来てるのに??
英語ではハリケーンリリー(hurricane lily)とも呼ばれてるそうなのに??
(※「有毒植物」である「彼岸花」を食べた後には「彼岸(=死)」しか残されていないから、とも)
その他、調べてて見つけたものを、とりあえず羅列しておきます。
・人の魂を吸いとる
・摘むと災いが起こる
・仏様の花なので摘んではいけない
・触わると病気になる
・触ると手が荒れたりしびれる
・触れると気持ち悪くなる
・床下に置くとネズミが逃げる
・墓に供えると天国にいける
・故人の家までの道標になる
・故人の血を吸って赤い花が咲く
まとめると、実際に「毒」を持っているのでホントに危険、でも、ちゃんと「毒抜き」さえすれば「非常食」ともなる「彼岸花」。
いずれの意味においても、子供たちが迂闊に近づいて触ったり、好き放題に荒らされたりすると困るから、ってことからの「縁起が悪いから」というわけですね。
「彼岸花」の花言葉
「情熱」
「独立」
「あきらめ」
「悲しい思い出」
「再会」
「また会う日を楽しみに」
「想うはあなた一人」
以外や以外‥。
「不吉」やら「死」のイメージとは掛け離れていて、なんかドラマチックというか‥「ニンゲンの一生の流れが全て詰め込まれている」かのような‥。
ちなみに、お隣の国、韓国では「彼岸花」のことを「相思華(そうしばな、サンチョ)」と呼ぶそうです。
秋に「真っ赤か」の花を咲かせ、冬には葉っぱだけを茂げらせる「彼岸花」。
(画像出典 : miyaichi )
(画像出典 : お花の写真集 )
決して訳あって互いには出会えない関係‥。
でも‥
「花は葉を思い、葉は花を思う」という意味を持つ「相思華」。
なんだか素敵‥。
以上です。
「邪悪で不吉 」という噂だけで幼き頃の私に切り倒されてしまった「彼岸花」さんたち‥。
ゴメンナサイ‥。・゚゚・(>_<;)・゚゚・
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