「於都里伎(於都里綺)」(おつりき)は、十返舎一九作、喜多川月麿画による「影絵」の指南をする江戸時代の文化7年(1810年)刊の、19cmほどの洒落本(滑稽本・冗談本・戯作)です。
(副題に「和蘭影絵」「紅毛影絵」(おらんだかげえ)と付いているもののオランダとは関係ありません)
構成としては、ページの左側に「影絵」の問題が出され、ページをめくった右側にその答えが描かれているという、江戸時代のクイズ形式の本です。
なのですが‥その「正解」とされるものが、とにかくヒドい‥w
あまりに無理があり過ぎるものや、どう考えても実現不可能なものばかりで埋め尽くされていて‥笑えます。
添えられているコメントも、「妻に呆れられるので離縁してからやったほうがいい」「こんなたわけを頼りにしている妻子が不憫」などの冗談めかしたおもしろい文章になっています。
ところで、「北斎漫画」はご存じでしょうか?
あの葛飾北斎による絵手本(※)として発行された江戸時代のスケッチ画集のことで、海外では「Hokusai Sketch(ホクサイ・スケッチ)」とも呼ばれているものです。
(※)江戸時代から明治時代に描かれた絵本の一種。主に門人などのための教育本として製作したものであったが、実際には鑑賞用に供されることが多かった。(wiki)
これって‥。皆さんいったい、何をされているのでしょう‥?
個人的に昔から、この「北斎漫画」が大好きでした。
加えて、天才・レオナルド・ダ・ヴィンチのこの「素描」についてはご存じでしょうか??
1977年、Active SETI(能動的な地球外知的生命体探査)を目的として打ち上げられた2機のボイジャー探査機に搭載された「ゴールデンレコード」、これに収録された「宇宙人」に「人類」を紹介するために採用されたダ・ヴィンチのデッサンです。
(UFOに乗っている異星人にニンゲンのこんなデータを流して大丈夫なの‥? と、不安に感じたものです‥)
「北斎漫画」とはその方向性は少々違っているものの、天才・ダ・ヴィンチの(「作品」ではなく)「素描」がとにかく大好きで、更には、どこか「北斎漫画」と同じニオイを感じていた鳥獣戯画(鳥獣人物戯画)や百鬼夜行図(百鬼夜行絵巻)も好きでした。
こんな私が、今回は「於都里伎(おつりき)」をそのまんまQ&Aのクイズ形式でご紹介したいと思います。
(関連記事 : アルチンボルドと歌川国芳 / ステキな隠し絵・寄せ絵・さがし絵・騙し絵の世界 )
この「影絵」を作れ!「於都里伎(おつりき)」クイズ!!
ヒトがこの影絵を作るにはどうすれば良いでしょうか?
【Q 1 : 簪(かんざし)・火爐(=火炉=火鉢)】
【A 1】
【Q 2 :提灯(ちょうちん)・石燈籠(いしどうろう)】
【A 2】
【Q 3:蛇・蝦蟇(がま=カエル)】
【A 3】
【Q 4 :杜若(燕子花=かきつばた)】
【A 4】
【Q 5 :酒樽・竹馬】
【A 5】
【Q 6 :鶯(うぐいす)】
【A 6】
【Q 7 :自在釜】
【A 7】
【Q 8 :華表(=鳥居)】
【A 8】
【Q 9 :長脚(あしなが)・長臂(てなが)】
【A 9】
【Q 10 :茶磨(=茶臼)・時計】
【A 10】
【Q 11 :孤松】
【A 11】
【Q 12 :螭龍(=あまりゅう=蛟龍(こうりゅう・中国の竜の一種)、螭(みずち)=蛟)】
【A 12】
【Q 13 :鶴・岐里古(切子灯籠)】
【A 13】
【Q 14 :橋】
【A 14】
【Q 15 :蜻蛉(とんぼ)】
【A 15】
(画像出典 : 国立国会図書館リサーチ 古典籍総合データベース(早稲田大学図書館))
以上なのですが‥。
実に無念に思ったのは、自らの読解力の無さ‥。
笑いとして、きっとおもしろいことが書かれているはずのコメントの部分、ひらがなだらけにも関わらず、ろくに読めませんでした‥。
もしも全てを訳した上での紹介であったならば、きっともっと盛り上げることができただろうに‥と悔しく思います‥。
あの「鑑定団」の人たちはどうやってその解読の能力を身につけたんだろう‥?
ふと思って、一応ちょろっと調べてみたところ、こんなものが見つかりました。
公益財団法人 国際文化カレッジ 美術品 鑑賞・鑑定入門講座-文部科学省認定通信教育
マジか‥?
ご多分に漏れずの、全く見たことも聞いたこともない組織による資格の認定制度‥。
分割払い 3,980円×10回 (10ヶ月)総計:39,800円。
これを受講すれば、古文書をスラスラと読めるようになるんだろうか‥?
怪しさプンプンなんだけど‥。
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