「水」‥。
私たちの最も身近にある「水」といえば、やはり「水道水」でしょう。
「水」は「軟水(なんすい)」と「硬水(こうすい)」に分類されているのですが、さて、「水道水」は「軟水」でしょうか?「硬水」でしょうか? それは何故??
また最近では「ミネラルウォーター」として数多くの「水」商品が販売されていますが、では、「ナチュラルウォーター」って何でしょう??
生命にとって欠かすことのできない「水」なのですが、あらためて聞かれると意外と知らない、分からないことが多くあることに気付かされます。
以下、具体的に「軟水」と「硬水」の違いやそのメリットとデメリット、「ミネラルウォーター」の分類などなど‥「水」について詳しくまとめてみました。
「軟水」と「硬水」の違いは「硬度」で決まる
「水」には主にカルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)が溶け込んでいて、「水」1リットル(1000ml)中に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの含有量を表わした数値を「硬度」といいます。
【日本での一般的な分類】
区分 | 硬度 |
軟水 | 100mg/l 未満 |
中硬水 | 100~300mg/l 未満 |
硬水 | 300mg/l 以上 |
【WHO(世界保健機関)での定義】
区分 | 硬度 |
軟水 | 0~60mg/l 未満 |
中軟水(中硬水) | 60~120mg/l 未満 |
硬水 | 120~180mg/l 未満 |
超硬水 | 180mg/l 以上 |
WHO(世界保健機関)の定義を基準にした場合は、硬度 120mg/l未満が「軟水」、120mg/l以上が「硬水」となります。
ここで、冒頭での「水道水」は「軟水」でしょうか?「硬水」でしょうか? それは何故??の答えですが、
「水道水」は「軟水」です。なぜなら全国平均の「硬度」は60mg/l前後だから。
とはいえ、社団法人・日本水道協会(JWWA)のデータによると沖縄県 84.006mg/l ~ 愛知県 26.476mg/l と相当な開きがあります。
しかも、これらの各都道府県のデータもあくまでも「平均値」ということなので、どうしても気になる人は地元の水道局に連絡して確認してみてください。
ということで、国産のミネラルウォーターも、そのほとんどが「軟水」です。
ちなみにフランスの「エビアン(evian)」の硬度は304mg/l 。なので「超硬水」ですね。
楽天市場「軟水」での検索結果は こちら。
楽天市場「硬水」での検索結果は こちら。
Amazonでの「軟水」での検索結果は こちら。
Amazonでの「硬水」での検索結果は こちら。
「軟水」と「硬水」のメリットとデメリット
個人的な感想として、はじめて「超硬水」である「コントレックス(Contrex)」(硬度 約1,468mg/l)を飲んだ時の「何だこれ‥」というあの違和感‥。
たかが普通の「水」であるはずなのに、本能からくる生命の危険を覚えました。
それはともかく、「軟水」と「硬水」のメリット・デメリットについてまとめます。
【軟水】
メリット | デメリット |
基本的に無味無臭であるため、風味を活かす日本料理に適している。 | 味が無い。 |
マグネシウムの含有量が少ないために胃腸への負担が少なく、赤ちゃんや小さい子供でも安心。 | ミネラルの補給はできない。 |
ミネラルの影響を受けにくいことから、肌や髪に優しい。 | |
石鹸や洗剤の泡立ちが良い。 | |
ミネラルが少ないため口当たりがまろやかでさっぱりとして飲みやすい。 |
【硬水】
メリット | デメリット |
洋風の煮込み料理に適している。 肉の臭みを消したり、アクを出やすくしたり、野菜の型くずれを防ぐ。 | 素材の風味を活かしたい和食料理には適さない。 |
便秘解消・ダイエット効果への期待。 (下剤にマグネシウムが使われていることから) | マグネシウムの影響でお腹がゆるくなってしまう。 |
カルシウムやマグネシウムが持つ血液をさらさらにする効果による動脈硬化の予防。 | カルシウムをろ過しきれないことによる腎臓結石のリスク。 |
ミネラルが多いため口当たりが重く苦みを感じる。 |
(関連記事 : 【超詳細】スッポンに含まれる栄養素は?【ミネラル】)
「軟水」・「硬水」と料理について
「軟水」を使用 | 「硬水」を使用 | |
ご飯 | 浸透性が高いため、米の中に水分がしっかりと吸収され、ふっくらツヤツヤの粘り気のある仕上がりとなる。 | 浸透性が低い上に、カルシウムが米の食物繊維と結合するため硬くなってしまう。 炒飯やパエリア、ピラフなど、パラパラに仕上げる料理には、中硬水が適している。 |
だし(和風) | 昆布の旨味成分であるグルタミン酸やイノシン酸を溶かして旨味成分や香りを引き出す。 | 旨味成分が溶け出しにくい上に、ミネラルがアミノ酸と結合し、アクとして出てしまってだしが濁る。 |
だし(洋風) | アクが出にくく、肉の臭みがスープに移ってしまって濁ったスープになりがち。 | カルシウムが血や肉の臭み成分と結合してアクとなって出てくるので臭みのない澄んだスープになる。 |
野菜 | 浸透性が高いため、水分がたっぷりと吸収されて、柔らかく(くたくたに)仕上がる。 | カルシウムと食物繊維が結合して硬くなるので歯ごたえは残るが煮崩れない。アクが出やすくなる。 |
パスタ | 粘り気が出る。 茹でる時に塩を入れるのは、ミネラルを足して硬水のように変えるためとも。 | カルシウムとでんぷん質とが結合して、ベタつかずパラりとしたコシのある麺に仕上がる。 |
豆腐 | 水の違いによって味に大きく影響してくる。 | にがりと同じ成分であるマグネシウムが豆腐を硬くする。 |
日本茶 | 茶葉の成分を溶かしやすく、旨味成分や香り、渋みがほどよく引き出されて風味豊か。 | ミネラルが茶葉の渋み成分と結合して渋みは緩和されるが、香りも少なくなる。 |
紅茶 | 味や香り、渋みや雑味がストレートに出る。 | 渋み成分であるタンニンの抽出が抑えられ、味と香りが弱まる代わりに、コクが出る。 |
コーヒー | 豆の味や香りがそのまま出る。 | 酸味を感じにくくなり、味や香りがマイルドになる。 |
ウィスキー (水割り) | 国産ウィスキーには軟水がよい。 | スコッチモルトウィスキーには中硬水がよい。 |
「ミネラルウォーター」の種類
農林水産省が定めたガイドラインによれば、「ミネラルウォーター類」と呼ばれる水は以下の4種類に分けられています。
ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン
(平成2年(1990年) 平成7年 改正)
品名 | 原水 | 処理法 |
ナチュラルウォーター | 特定の水源から採水された地下水 (注1) | 沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの |
ナチュラルミネラルウォーター | ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水 (注2) | |
ミネラルウォーター | ナチュラルミネラルウォーターを原水とする | 品質を安定させる目的等のため、ミネラルの調整・ばっ気(曝気。水を空気にさらし、液体に空気を供給すること)・ 複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの |
飲用水又はボトルドウォーター | 上記以外の飲用の水 | (処理法の限定はない) |
(注1) 特定の水源とは、水質、水量において安定した地下水の供給が可能な単独水源をいう。
(注2) 鉱化された地下水とは、地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をいう。
●「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」以外のものには「自然」・「天然」の用語、及びこれに類似する用語の表示は禁止されています。
●「ボトルドウォーター」は(一括表示の中に)採水地を記載することができません。
バナジウムとミネラルウォーター
バナジウム(vanadium)とは、原子番号23の元素で、灰色がかかった銀白色の金属です。元素記号は「V」。
健康面でのバナジウムの効用としてネット上、多数のいいかげんなアフィリエイトサイトにおいて、
・糖尿病予防効果(血糖値降下作用)
・コレステロール値の改善
・体の毒素を排泄するデトックス効果
・脂肪燃焼促進
・美容効果
・熱中症予防
などと、何ら裏付けとなるデータの提示もないままに平気で紹介してやがりますね。
Wikipedia によると、
バナジウム
現在、ある程度効果が確認されているものは、次のとおりである。
・ラットを使った研究でインスリンに似た働きをする(血糖値を下げる)ことが示唆され、糖尿病治療薬になるのではないかと注目されている。
・理論的に、抗凝血薬の作用を強める(効果と副作用の両方とも)可能性がある。健康食品に関連して2000年頃から話題になり、ミネラルウォーターやサプリメントが販売されている。検証はなされていないが、摂取することで何等かのメリットがあるものと期待させる宣伝が行われている(疑似科学)。
とあります。
更に調べてみると、
「健常成人女性における高飽和脂肪酸食接種時の軽度インスリン抵抗性に対するバナジウム含有水の影響」
(2005年、中村学園大学の研究グループが行った実験。大学に在籍している健康な女子学生20人に高飽和脂肪酸規定食(動物性脂肪の多く含んだ食べ物)を8日間食べてもらい、A群・B群10人ずつに分けて1000ml 中に56μg、1000ml 中に61μgという濃度の違うバナジウム含有水、その対照被験物としてバナジウム非含有水を飲んでもらって調べた結果、バナジウム含有水を飲んだことで血糖値の上昇を4分の3に抑えられることが分かった)
(2006年、日本薬科大学渡邊泰雄博士による実験。一日540ml(180m1×3回)、4ヶ月間バナジウム含有富士山の天然水を飲んでもらって血糖値の推移を調査するというもので(?)、結果は、バナジウム含有天然水は決して強力な血糖降下作用を有さないが連用によって「補助的」効果を期待できる)
というものが見つかりました。
つまりは「血糖値を下げたのでインスリンの代わりになるのかも?」という程度のことです。
まだまだ実践として活用できるレベルの話ではないでしょ、こんなもん。
なのに、
・糖尿病予防効果(血糖値降下作用)
・コレステロール値の改善
・体の毒素を排泄するデトックス効果
・脂肪燃焼促進
・美容効果
・熱中症予防
これらの項目のサイトに出会った時には、是非ともしっかりと中身を読んでもらいたい。
血糖値からの、まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」方式での理屈の展開、ホント笑えますよ?w
特定保健用食品 (通称:トクホ)。
消費者庁の発足(2009/9/1)に伴ってその業務は厚生労働省から消費者庁に移りました。
消費者庁の定義によると「許可等を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品」です。
ちなみに、キレアウォーターとかアシストウォーターなどの「ミネラルウォーターもどき」としてのモノはともかく、純粋なミネラルウォーター部門でトクホの認可を受けた商品は今のところありません。
アナタの無知につけこんでお金を吸い上げようとしている輩がネット上にはうようよと蔓延っていますよ。
インチキ業者には欺されないようにしましょう。大手上場会社も含めて‥ね。
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