潮干狩りシーズン到来!!
春になるとテレビのニュースでも必ず話題となる潮干狩り。
一般的には4~5月頃とされていますが、実は潮干狩り自体は1年中いつでも可能です。おすすめなのが春というだけで。
どういうことかというと、潮干狩りには必須の「潮の干満の差が激しい大潮」、砂浜が沖にまで広がるという状況が昼間の時間に訪れるのが「春」なのです。
つまりは、秋になっても潮干狩りはできますが、ベストのタイミングである大潮がすでに夜の時間帯に入ってしまっているということです。
暗がりの中でヘッドライトを装着した家族が黙々とアサリを漁り‥。
想像するだけでも、いかにも怪しい姿‥。
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潮干狩りの中止が全国で多発
潮干狩りはすでに縄文時代から行われていたそうです。
まあ貝塚という遺跡があることからしても、きっとそうなんでしょうね。
メジャーとなったのは江戸時代。
これはデータとしてちゃんと残っています。
【江戸名所 品川沖汐干狩之図 (歌川 広重 2代)】 (画像クリックで拡大します)
ヒラメを捕まえている親子?(カレイではない。「左ヒラメに右カレイ」より)や、酒を飲んでいるオヤジも描かれています。実に楽しそう。
しかしながら平成のこの世の中、潮干狩りができないという事態が全国で多発しています。
国産アサリの激減
昭和50年代までは年間約14万トン以上あった日本のアサリ漁獲量(神戸市HPより)が、現代、平成27年(2015年)には1万3810トン(静岡新聞HPより)と激減しています。
これはもう「絶滅」を危惧するレベルの問題なんじゃないのかな‥?
それはともかく2017年3月17日、浜名湖の潮干狩りの2年連続の中止が発表されました。
理由は言うまでもなく「アサリの不漁によって十分な量を確保できないと判断された」ため。
調べてみたところ、アサリの漁獲量第1位の愛知県を始め、第2位の静岡県(上記の浜名湖は静岡県)、大分県や和歌山県等でも潮干狩りの中止が相次いでいます。
アサリが姿を消した原因
実際には、アサリが減少した本当の原因は不明のままです。
だからこそ、あれやこれやと対策がなされているわけで。
その原因として考えられているのは、以下の通りです。
天敵や寄生虫の増殖
アサリを食べる天敵のツメタガイや、寄生虫のウミグモ(カイヤドリウミグモ)の増殖。
【ツメタガイ】
肉食性であり、アサリなどの二枚貝を捕食する。アサリなどの二枚貝を捕まえると、やすりのような歯舌を用いて獲物の殻の最も尖ったところである殻頂部を平らに削っていき、2mm程度の穴をあけて軟体部を食べる。(Wikipedia)
貝殻と本体のはみ出した部分‥ですね‥。一瞬、「目」に見えて‥気持ち悪い‥。
(画像出典 : 月刊KOBEグー)
たしかにこんな感じの穴の開いたアサリの殻って見たことありますよね。
【カイヤドリウミグモ】
(画像出典 : 東京湾生態系研究センター)
造形的には映画「エイリアン」の幼生みたいでなんかカッコいい‥。
でも、こんなものが自宅のキッチンに出現、となると恐い‥。
その他の食害としての天敵
アサリはクロダイやナルトビエイのエサです。
彼らによってアサリは食べられ、減少しているとのこと。
魚類によるアサリ食害-野外標本に基づく食害魚種リスト-
(国立研究開発法人 水産研究・教育機構)
【クロダイ】
【ナルトビエイ】
(画像出典 : WEB魚図鑑)
アオサの大量発生による酸素不足・その腐食による影響
アオサは、日本各地・世界各地の沿岸に分布しており、海岸に打ち上げられた状態で普通に目にすることがあるもので、「アオノリ」「アオサノリ」とも呼ばれます。
このアオサが大繁殖することで海中は自ずと低酸素状態となり、またこれが腐って硫化物を含んだガスを出すことで海底生物に深刻な被害をもたらします。
アサリの減少の一因として考えられている「大繁殖したアオサ」と「食用のアオサ」は別の種類のアオサです。
アオサにはいくつか種類があり、食用として養殖されて一般に流通しているのは「ヒトエグサ(一重草)」というもので、ふりかけの海苔などに加工されたり、味噌汁の具として、卵焼きに混ぜたり、天ぷらにしたり、海藻サラダの具にしたり、煮詰めて佃煮にしたりと、さまざまな料理に使用されています。
「風」
そのメカニズムは、
・巨大な台風に伴う強風で海面に強いうねりが起きる
・これによって海底の砂がかき混ぜられる
・砂の中に棲んでいたアサリの稚貝が巻き上げられてしまう
・そのアサリの稚貝は岩場などの生息が困難な場所に流されてしまう
というもの。
平成25年(2013年)に台風26号が襲来、愛知県水産試験場によるとデータから、沿岸部の海流のスピードが通常の3倍までに速くなった、これがアサリの生育に影響を及ぼした可能性がある、とのこと。
「風」によって海面に引き起こされる起こる「波」という現象は、エネルギーの移動としては上下(垂直方向)のみであって、左右(水平方向)には関係ないと思っていました。
分かりやすく言うと、海でも池でも湖でも浮かんでいるゴミ、波はちゃんと打ち寄せているのに(水平方向)、ゴミはいつまでもその場に留まってプカプカ(垂直方向)ですよね?
なので、いくら台風による強風で海底の砂がかき混ぜられようが、アサリの稚貝が巻き上げられようが、それは結局上下動の話。そのうち状況が落ち着けばその場で下に沈んでいって、これまで通りの生活を続けられるんだろうな、と。
この「流されて」という左右動である海流の話、とても興味深かったです。
地球温暖化
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 瀬戸内海区水産研究所という、漢字だらけの良く訳の分からない、我々の税金で成立でしている国立の機関によると「アサリは北方系の生物なので、水温が高いと生育によくありません」とのこと。
加えて、「日本沿岸で窒素やリンが減って、アサリの餌となる植物プランクトンも減ってしまった影響も考えられる」とのこと。
とはいえ、地球温暖化、過去100年の気温上昇はわずか0.7度。(気象庁 | 世界の年平均気温)
これがアサリの漁獲量激減の理由とは到底思えないのですが‥。
生息適地の減少・漁場環境の悪化
生息適地の減少の代表としては、ニンゲンの都合、「埋め立て」ですね。
干潟に住むアサリなどの生物は、そこに棲む微生物やプランクトン等を餌として取り込み海洋への栄養塩や有機物の流入を食い止めるという、いわば自然の浄化槽の役割を果たしてきた。しかし、護岸工事などにより干潟が大幅に減少し湾内の富栄養化が進行。これを一因としてプランクトンが大量発生すると考えられている。(Wikipedia)
地球にとって、ニンゲンはホントに存在していてイイ生物なんでしょうか‥?
「乱獲」
2年連続の潮干狩りの中止を発表した浜名湖は、年間約5万人以上が訪れる人気のスポットだったそうです。
公益財団法人 浜名湖総合環境財団のHPの「アサリ獲り・潮干狩りのルール」に、「獲る量は、1日一人あたり「2kg」までです 」とあります。
アサリを1日に1人当たり「2kg」も‥?
計算してみましょう。
まずは、1人当たり1日「2kg」として、1年は「365日」。
2kg×365日=730kg
これが浜名湖で1人が1年間でアサリを獲れる量の限界基準となります。
で、1年間で約5万人以上が訪れるということなので、
730kg×50,000人=36,500,000kg = 36,500t です。
計算上は、年間に約4万トンほどのアサリの補充が必要ということになります。
しかしまあ、これはあくまでも計算上のことであって、皆が皆限界の「2kg」を持ち帰るのか? とか、365日アサリを穫ってるヤツがいるか? とか、現実的には有り得ない数値ながらも、実際に補充はしています。中国産・韓国産・北朝鮮産のアサリを。浜名湖はどうなのかはともかく、各潮干狩りの会場で。
ちなみに、外国から輸入したアサリの稚貝を、日本の砂浜に埋めて数日から1週間ほど経って出荷すると「国産」に化けます。法律上。
この点、牛肉も一緒。
ウシやブタなど畜産物の産地の表示は、以前は「3ヶ月ルール」(輸入した日から3ヶ月を超えて国内で飼育すれば「国産」としての表示が可能)であったものの、今は基本的に「一番長く飼育された場所」が産地となっています。
高級肉、いわゆる「ブランド牛」の“ロンダリング”についても、ご注意あれ。
潮干狩りでアサリを多く穫るコツ
最後に、アサリ穫りの名人とやらが紹介していたものを含めての“コツ”について。
アサリが好む場所
アサリは波が穏やかなところを好むので、波が直接あたりにくい場所、砂地に囲まれている場所、砂の盛り上がった場所の裏側を狙いましょう。
特に海藻がある場所は、アサリのエサのプランクトンが集まりやすい場所なので絶好。
また天然のアサリは大きな岩の下に潜り込もうとするので、その周辺を掘るというのも手です。
掘る深さは5cm~10cm
これ以上掘っても何も出てこないなら、別の場所に移動。
一匹を見つけたらその周辺を掘る
管理されている潮干狩り場では、満潮の時に船でアサリを補充しているので、1つでも見つけたらその周りを掘ってみましょう。
たくさんゲットしている人の周辺で掘る
ホントの達人なのか、撒いている側のニンゲンなのかは置いといて、ストーキングすれば確実にゲットできます。
アサリの「目」を探す
(画像出典 : 川越市医師会釣り部のブログ)
アサリの「目」とは、砂地に残った「出水管」と「入水管」の跡のことです。
1mm~2mm程度の穴が2つ並んで(つながって)あいているのを探して掘りましょう。
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