「宇宙開発」と「実験動物」~宇宙へと送られた「イキモノ」たち~

1961年4月12日、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦 1922年~1991年)は世界で初めて「有人宇宙飛行」を成功させました。

宇宙船「ボストーク」。

これに単身搭乗した軍人・パイロット・宇宙飛行士である、あの「地球は青かった」「神はいなかった」というセリフで有名なユーリイ・ガガーリン(ユーリ・ガガーリン)が、人類史上初めて宇宙に出た「ニンゲン」です。

では、宇宙に初めて出た地球上の「イキモノ」って何かご存じでしょうか??

宇宙に初めて出た「イキモノ」は「ハエ」

ミバエ」が宇宙に初めて出た地球上の「イキモノ」です。

1947年2月20日、アメリカのホワイトサンズ性能試験場(現・ホワイトサンズ・ミサイル実験場)にて、ドイツから接収した「V2ロケット」によって打ち上げられました。

(ちなみに、世界初の核実験「トリニティ実験」が行われた「トリニティ・サイト」はここの一角にあります。
参考過去記事 : 「トリニティ・サイト」って何だっけ‥?? あ‥!!「マンハッタン計画」だった!! )

その目的は、「高高度における宇宙線被曝の影響の調査」。

高度68マイル(109.44 km)に到達。(その距離感の参考画像はこちら)

ミバエ」は生きたままに回収され、健康体でした。

宇宙に送られたイキモノたち

サル

初めて宇宙に行った (ってか、強制的に「行かされた」) 哺乳類は、「サル」。

上の画像は、宇宙に行かされた「アカゲザル」の「アルバート2世(Albert II)」です。

1949年6月14日、アメリカによって「V2ロケット」に乗せられ、宇宙に行った初の哺乳類となりましたが、帰還時におけるパラシュートの故障のため、地面に激突して死亡しました。


1958年12月13日、アメリカ海軍により調教されたリスザル「ゴード」を乗せた準中距離弾道ミサイル (「MRBM」?「IRBM」?? )の「ジュピター (Jupiter)」ケープ・カナベラルから打ち上げられました。

15分間の500kmの高度に達する弾道飛行

飛行中に地上に送られたテレメトリーデータから、打ち上げ時の10G、8分間の無重力状態、大気圏再突入時の40Gの重力に耐えた「ゴード」でしたが、「ノーズコーン」の回収用のパラシュートが作動せず、結局、行方不明。

データにより、衝突の瞬間まで生きていたことが分かっています。


1959年、「アカゲザル」の「エーブル」と、「リスザル」の「ベーカー」は、宇宙飛行(「弾道飛行」)から生きて帰還した初の霊長類となりました。


(画像 : リスザルの「ベーカー」。)

最高速度が16,000km/hで、高度は579kmに達する16分間の飛行。

38Gの重力にも耐え、無重力状態が約9分間。

二人は無事に生還し、状態も良好でした‥。

めでたし、めでたし‥(って、そういう問題か‥?)


(画像 : 宇宙カプセルに入れられた「ベーカー」。)


(画像 : 宇宙カプセルに入れられる直前の「エーブル」。鬼畜どもが嗤っている‥)

「エーブル」は”無事生還”の4日後、電極を取り除く手術での麻酔を原因として死亡してしまいましたが、「ベーカー」は1984年11月29日まで生きることができました。

1969年、アメリカは「アカゲザル」の「ボニー」を打ち上げ、霊長類において初の宇宙での複数日ミッションを成功させます。

その他にも1950~60年代、アメリカは「アルバート」「パトリシア」「マイク」「サム」などの数種の「サル」を数多く打ち上げており、これらの「サル」には“バイタルサイン(vital signs “生命兆候”)を測定するセンサーが埋め込まれ”、その多くは打ち上げ時に“麻酔状態”にありました。(「ニンゲン」どもによる、せめてもの“恩情”って?? いやいや、単にパニクって暴れたりしてとかなると正確なデータが入手できないからでしょw)

イヌ

1951年7月22日、ソ連によって「R-1ロケット」に“搭載”され、「弾道飛行」により宇宙に送られてしまった「イヌ」。

「ツィガン」と「デジク」の二人が、初めて大気圏外に出た「イヌ」となってしまいました。

両名ともこの飛行には生き残ったものの、「デジク」“後の飛行で死亡”しました。

初の「地球軌道を周回した哺乳類」は、「イヌ」「ライカ」です。

1957年11月3日、「ライカ」は、ソ連がに打ち上げた「スプートニク2号」に“搭乗”させられました。

当時はまだ、周回軌道上から地球に安全に帰還させる技術は開発されておらず、「スプートニク2号」も大気圏再突入が不可能な設計でした。

1958年4月14日、大気圏への再突入の際に燃え尽きて“消滅”‥。

そもそも「ライカ」は、打ち上げから7日後(10日後?)”薬殺”される予定でした‥。

ただまあ、1999年、複数のロシア政府筋の情報として、

「ライカ」は、キャビンの欠陥による過熱で、打ち上げの4日後に死んでいた」

さらに加えて、2002年10月、「スプートニク2号」の計画関わったディミトリ・マラシェンコフにより、

「ライカ」は打ち上げ数時間後にストレスと過熱により死んでいた」

という論文が発表されました。


1960年8月19日、「スプートニク5号」に乗せられた「イヌ」「ベルカ」「ストレルカ」が、地球軌道を周回して生還した”初めての地球上の「イキモノ」となりました。

1966年2月22日、ソ連は「イヌ」「ヴェテロク」「ウゴリョーク」を打ち上げ、帰還するまでの22日間を「コスモス110号」の中で地球周回軌道上で過ごさせられました。
(「イヌ」の宇宙滞在期間としては現在でも最長の記録。なーんにも嬉しくないだろうけどね、本人たちは)

1961年4月12日の「ユーリイ・ガガーリン」と名付けられた「ニンゲン」という「イキモノ」初の宇宙飛行に成功するまでに、1950~60年代、ソ連によって合計で最低でも57匹の「イヌ」が打ち上げられました‥。

ってさ‥。

どんだけ傲慢なんだよ‥「ニンゲン」ってのは‥。

チンパンジー


(画像 : 「握手の歓迎」。実験飛行の後、救助船の副長から”歓迎”される「ハム」‥。)

1961年1月31日、「チンパンジー」「ハム」が、マーキュリー計画 によるレッドストーンロケットに乗せられ、宇宙飛行(弾道飛行)をさせられました。

「チンパンジー」たちは、「青いランプが点滅したら5秒以内にレバーを押す」などのライトや音に対して反応するように訓練され、もしも誤った反応をしたときには「軽い電気ショックが与えられ」、正しい反応をした時には「バナナが与えられ」ました。

「ハム」のこの実験飛行によって“宇宙飛行中にニンゲンも作業が可能”であることが立証されることとなるのですが‥。

「ハム」が乗ったレッドストーンロケット、予定よりも早く燃料を使い切ってしまったために脱出用のタワーロケットに点火されました。

そのため大きく軌道が狂い、さらに電気系統の故障も重なったために「ライト点滅バナナ支給システム」が正しく機能しなくなり、「ハム」は信号に対してちゃんと正しくレバーを操作し続けたにもかかわらず、電気ショックばっかり喰らうという悲惨なことになりました。

海面に落下した時の衝撃も大きく、カプセルにも大量の浸水。

救助された時は半ば溺死状態。

カプセルから出された後に「ハム」は半狂乱となり、ヒト・モノ問わず、辺り構わず噛み付く、という有様だったそうです‥。

1961年11月29日、アトラスロケットの「アトラス5号」に“搭載”された「エノス」が、地球軌道を周回した初の「チンパンジー」となりました。

ネコ

1963年10月18日、フランスは「ネコ」を打ち上げました。

当初は「Felix」(画像左)が選ばれていたものの、打ち上げ当日にその姿をくらましてしまったため、「Felicette」が世界初の「宇宙ネコ」となりました。
(参考 : カラパイア)

神経衝撃を測定するために、その頭には電極が埋め込まれていました。

この子は無事に生還。

が、次の実験飛行に参加させられた「宇宙ネコ」死亡。

カメ


(画像参照 : wiki)

1968年9月14日、ソ連によって打ち上げられた「ヨツユビリクガメ」が宇宙に行った初の「カメ」となりました。

チーズバエ」や「ミールワーム」、その他の生物標本と一緒に月を周回

みんなは深宇宙(ディープスペース)に送られた、初の「イキモノ」となりました。

で、9月21日、カプセルは海上にて無事回収。

ネズミ

1950年8月31日、アメリカは「ハツカネズミ」を「V2ロケット」に“搭載”(“モノ扱い”‥(※))して、高度137kmまで打ち上げました。

「器物損壊 動物」の法律相談 (弁護士ドットコム)

ラット

1961年2月22日、初めてフランスはラット「Hector」弾道飛行にて宇宙に送りました。

その他の宇宙空間に送り込まれた「イキモノ」

「ショウジョウバエ」「ヤドリバチ」「コクヌストモドキ」「カエルの卵」「バクテリア」「アメーバ」「植物」「菌類」。

「ウシガエル」「線形動物(線虫)」。

「ポケットマウス(ポケットネズミ)」「魚類(マミチョグ」「クモ(cross spider)」「リクガメ」「ゼブラフィッシュ」。

その他詳細を知りたい方はこちらへ。

「ニンゲン」ってホントに生きててイイんでしょうか‥?

「アルバート2世(Albert II)」「ゴード」「エーブル」「ベーカー」‥

個人的にもっとも理解できないのが‥

名前までつけて”可愛がっていたイキモノ」を、一方的に強制的に”実験”“使用”できるという、この感覚‥。

「名」を持った以上、もはやそこには人格(?)が発生してしまうでしょ‥。

ただし、上記の宇宙飛行実験に強制参加させられた「チンパンジー」「ハム」は、飛行前には単に「#65 (65番)」と呼ばれていて、無事に地球に帰還した後に「ハム」という「名」が使われるようになりました。

その理由は、「もしも実験が失敗して「名付けたチンパンジー」死亡してしまうことは好ましくない」と考えた当局による配慮だそうで。

この感覚です。

でもまあ、これも、おためごかし。

お ためごかし [4] 【御▽ 為▽ 倒▽し】
〔「ごかし」は接尾語〕
表面はいかにも相手のためであるかのようにいつわって,実際は自分の利益をはかること。
(by Weblio辞書)

実際に「無人格」として宇宙に打ち上げて殺しているという事実に変わりはないんだからねw


最期に、「実験動物」に興味に興味ある方へ。

一度、読んでみて下さい。

NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA = Japan Anti-Vivisection Association)

(「vivisection」=「生体解剖・生体実験」。でも‥「JAVA」は良くないなぁ‥。普通は「プログラミング言語」を発想するでしょ‥。)

(参考 : Wikipedia「宇宙に行った動物」)

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