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【美容】ミランダ・カーのリーチ・フェイシャルと「ヒル」について

「リーチ」とは「Leech」「ヒル」のことです。

2017年6月11日、アメリカ・ピープル誌が「ミランダ・カーが、リーチ・フェイシャルを行ったことを打ち明ける」というタイトルの記事をホームページに掲載しました。

記事によると、ミランダ・カー(34歳)は6月9日にカルフォルニア州で開催された「In Goop Health」いうイベントに出席、リーチ・セラピーに挑戦したことを語りました。

リーチ・フェイシャルとは「医療用のヒルに顔の血を吸わせて血行を促すというフェイシャル・ケアのこと。

ミランダは「ヒル」たちを持ち帰って、家にあるコイの池に放したそうです。

リーチ・フェイシャルに使用された「ヒル」たちは再利用されることはないため、もし自分が家に持って帰らなければ殺されてしまう、それが嫌だったからとのこと。

でもまあ、きっと、今頃はコイのエサとなってしまっているか、コイたちが血を吸われていることでしょう。(もしくは池の底で餓死か溺死? )

それにしても‥何とも変わった感覚のヒトですな。
「しょこたん」こと中川翔子と同等レベル。

ヒルなんです

ヒル飼育なう

専門家によるとその効果は疑問だそうですし、何より「傷口」のケアはどうするんだろ??


(画像出典 : 久しぶりのトレラン 丹沢で恐ろしいことが!)

何にせよ、間違っても「野生のヒル」を捕まえてきていっぺん試してみよう!? などとは考えないように‥。

「ヒル」とは?

「ヒル」=「吸血鬼」?

一般的に「ヒル」=「吸血」のイメージが強く、そのヌメヌメ・ブヨブヨした見た目も加わって「気持ち悪い」と忌み嫌われています。

しかしながら、日本で確認されている約60種類の「ヒル」のうちヒトに「吸血」で被害をもたらすのは、主に「チスイビル」「ヤマビル」「ヌマビル」3種類のみです。

その他の「ヒル」は魚類に寄生していたり、貝やミミズを食べたりしています。

ヒルの特徴

「淡水生」「陸生」「海水生」など、種によって様々異なる環境に生息しているものの、そのほとんどが「淡水生」です。

体長は0.2mm~40cm。

例えば「ヤツワクガビル」は伸びると50cmを越え、エサとして40cmにも達する「シーボルトミミズ」を丸飲みにしたりしますが、実質的には人畜無害。

その「大きさ」と、背面中央が深緑色・両縁沿いが黄色、腹面は全体的に橙黄色(とうこうしょく。だいだい色)という、一般的な判断からは「毒持ち生物の特徴」である「奇抜で不気味な体色」を持っているせいで単に気味悪がられているだけ‥。
かわいそ‥。

(画像出典 : ヤツワクガビル、ミミズを食す。)

(画像出典 : 雨の高尾山-2)

「ヒル」の共通の特徴としては、体の前後の端に「吸盤」を持っていること。

その発達の程度は様々ながら、後述、「吸血」に関してはこの特徴が重要となります。

「ヒル」「皮膚呼吸」。(ちなみに哺乳類は「肺呼吸」、魚類は「エラ呼吸」、昆虫類は「気管呼吸」)

 同時的雌雄同体(オス・メス両方の生殖機能を同時にもつ。⇔ 機能的雌雄同体)で、卵生です。

吸血性の「ヒル」について

川や沼地、湿度の高い森林などを歩いているときに取り付かれ、「吸血」されます。

沼や川、水田には「チスイビル」が多く、作業中に血を吸われることは普通のことであったものの、現在では農薬などによって減少しています。


ドジョウを襲う「チスイビル」(画像出典 : 水辺の生き物彩々)

「ヤマビル」は名前の通り山の中に棲んでいる「ヒル」で、日本では唯一の陸生の「ヒル」です。

普段は葉っぱの裏などに身を潜め、動物の動き(足音、二酸化炭素や体温など)で宿主の接近を感知、突如の素早い行動で足が地面に着いた瞬間に身体に張り付きます。
樹木の上に潜み、宿主が近づくと落下して張り付くこともあります。

その後、体の前後にある吸盤を使ってシャクトリムシのような動きをとって移動、裾や袖口などの隙間からもぐりこんで皮膚に到達します。


シャクトリムシのように移動する「ヤマビル」(画像出典 : Wikipedia)

宿主の血管を探し当てると、いよいよ「吸血」。

吸盤で固定した後、口の中のカマ状のあごを使って皮膚をY字状に切り、流れ出てくる血液を吸います。

「ヒル」の唾液には、麻酔効果がある物質が含まれているので痛みを感じることのないままに「吸血」され続けます。その他、血液を固まりにくくする物質・血管を広げる物質も含まれています。

約1時間ほど掛けて「吸血」し、血を吸う前に比べると平均で4~5倍、中には10倍の体重になるまで血を吸い続けます。(ちなみに「チスイビル」の場合は体重の2~5倍程度)

満腹になると自ら離れますが、その前に取り除こうと無理やり引っ張ったりしても、身体がちぎれてもまだ残るというほどの異様な吸着力です。
まさしく、執念。


(画像出典 : ヤマビル研究会)

傷口からの出血はなかなか止まらないため、結果、「血だらけ」という状況を見てようやく「ヒル」にやられたことに気付くということもよくあります。
(参照 : 久しぶりのトレラン 丹沢で恐ろしいことが!)

医療用の「ヒル」とは?

前述通り、「ヒル」血液の凝固を防ぐ力を持っていることから、古来より「瀉血(しゃけつ。血液を外部に排出させることで症状の改善を求める治療法)」など医療用としても用いられてきました。

「瀉血」はギリシャに始まってヨーロッパに広まり、中世初期では修道士が実践していました。

実践例としては、「頭痛」に対しても「治療」として、こめかみの血管を切開して「瀉血」、その症状の軽減を図ろうとしたとか‥。

その他、「血液のよどみが病気の原因」と考えられていたために、「熱」「下痢」「せき」などの症状に対しても、とにかく血管を切開、「瀉血」であったそうです。
(Wikipedia「瀉血」)

という興味深い話はともかく‥現代における「医療用のヒル」について。

これまた非常に興味深い話なので、ご紹介。

例えば、事故で「手首・指を切り落とす」という不幸に見舞われたとします。

当然、病院で元通りにつなぎ合わせる手術が行われることとなります。

骨の接合、腱を縫合、動脈・静脈を吻合し、神経を縫合‥。

鋭い刃物類によるクリアな切断で、「切り落とされた手首・指」の保存状態が良く(事故後すぐに拾い上げて冷やすように)、受傷~手術までが8時間以内であれば、今や日本においては元通りになる確率は90%以上とのこと。

一方、クリアでない切断

ベルトコンベアー、ローラー、プレス機、ワイヤー等によって「つぶされた」「ちぎられた」という状態の悪い「手首・指」。

なんとかつなぎ合わせたとしても、つないだ動脈に血栓ができて血行が悪くなったり、静脈から血液が還って来られないという「還流障害」が起きます。

手術を行っても結局「再接着」の可能性が低くなるということで(熟練した医師になるほど)、最初から手術を行わなくなるそうです。

この「還流障害」が起きたときにまともな感覚を持った医師が「ワラにもすがる思い」で用いるのが「医療用のヒル(medical leeches)」というわけです。

この「ヒル」をつなぎ合わせた指の先端に付けて血液を吸わせ、血行の改善、血管の再生を促すことを狙います。

だいたい30分〜1時間くらいで、満腹になるまで「吸血」した「ヒル」はポトリと落ちます。

この「医療用ヒル」1匹にして3000円だそうです。

(参考 : 医療用ヒルという生き物 )

「ヒル」被害への対処法

「ヤマビル」は、サル、シカ、イノシシなどの野生動物の血液を吸って生きており、宿主である動物たちと一緒に移動することで、ニンゲンが近寄りそうな沢や湿地、登山道、人里などにもその生息域を拡大していきます。

「ヤマビル」の活動時期は5月~10月で、気温が25度以上で雨が降っているときや雨上がり、湿度が70%の6月~9月に特に多く見られます。11月~4月頃までは越冬します(冬眠はしません)。

「登山・ハイキングに出掛ける時の服装」の基本は以下の通り。

「帽子」
木の上からも降ってきますので。

「長袖・長ズボン」
侵入口だらけのボタン付きのシャツは避ける。
シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下の中に入れましょう。

「厚手の靴下」
目が粗いとその隙間に顔を突っ込まれて「吸血」されます。

「長靴(もしくは登山靴)」
ちなみに靴に取り付いた「ヒル」が靴下に潜り込むまでが30秒、ビニール製のカッパは張り付きやすいため、足下から首まで這い上がるのに1分程度とのこと。(Wikipedia)

「ヒル忌避剤」を使用するのがもっとも効果的

ただし、使用に際しては注意が必要です。

なぜなら、「ヒル」が忌避する理由は、製品の主成分である「ディート」にあるからです。

「ディート」とは、1946年、第二次世界大戦でのジャングル戦の経験に基づいてアメリカ陸軍が開発した化学名・ジエチルトルアミドという化合物のことで、昆虫などの忌避剤(虫よけ剤)に用いられています。

厚生労働省の「ディート(忌避剤)に関する検討会(平成17年8月) 資料」 には、「急性の経口摂取や、慢性的な皮膚適応の場合に血圧低下、けいれん、発疹などの症状を呈する」とあります。

通常の使用においても、まれに神経障害や皮膚炎を起こすという報告があり、そのため厚生労働省は「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」において「ディート」の製造販売業者に対し、以下の「使用上の注意」等の改訂を求めています。

添付文書、外部の容器等に記載の<用法・用量に関連する注意>を、次の内容が含まれるよう改訂すること。

○ 漫然な使用を避け、蚊、ブユ(ブヨ)等が多い戸外での使用等、必要な場合にのみ使用すること。

○ 小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。
・ 6か月未満の乳児には使用しないこと。
・ 6か月以上2歳未満は、1日1回
・ 2歳以上12歳未満は、1日1~3回

○ 目に入ったり、飲んだり、なめたり、吸い込んだりすることがないようにし、塗布した手で目をこすらないこと。万一目に入った場合には、すぐに大量の水又はぬるま湯でよく洗い流すこと。また、具合が悪くなる等の症状が現れた場合には、直ちに、本剤にエタノールとディートが含まれていることを医師に告げて診療を受けること。

また、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)  は「ディート含有製品」の「使用上の注意」として、次のことを推奨しています。

  • 飲んだり吸入したりしないよう注意が必要。
  • 特に乳幼児に対し使用する場合は手のひら、顔(特に目、口)を避ける。
  • 乳児は、大人の手のひらで薄く延ばし、これを塗る。
  • 子供同士で虫よけ剤を塗ったりスプレーしたりさせない。
  • 衣服へ塗る場合、内側(皮膚に直接触れる部分)へ塗布しない。
  • 長時間塗ったままにしない。子供で約4時間、大人で約8時間程度を目安とする。さらに長時間の使用が考えられる場合は、濃度の低いものを使用するか、薄く塗る方法をとる。
  • 帰宅後など、昆虫に接触する機会から離れた場合は速やかに石鹸などを使い、洗い落とす。
  • 虫よけ剤は子供の手の届かないところへ保管する。
  • 夏場など、日焼け止めと併用する場合は、日焼け止めを最初に塗りその上に虫よけ剤を塗る。

なんかメンドクサイ‥。

市販の「ヒル忌避剤」の比較

前述、「ディート」はそれなりに厄介な化合物ながら、同程度の効果をもった代替物がなかなか開発されないため、引き続き利用されています。

しかしながらやっぱり、「ディートは恐い」という思いは根強く残ります。

そこで最近では、「ディート無添加」の「ヒル忌避剤」も販売されています。

ということで、以下にまとめてみました。

ディート 商品名 メーカー 備考
含 有 ヤマビルファイター イカリ消毒 有効成分 : ディート、ウレタン樹脂系水溶性塗料
ヤマビルファイタージェット 有効成分 : ジエチルトルアミド(ディート)・ヒバ油
スーパーヤマビルジェット エバニュー(EVERNEW) 駆除成分「ディート」と「ヒバ油」を配合したヤマビル・ヒル駆除用の殺虫スプレー(殺ヒルスプレー)
無添加 ヒル下がりのジョニー エコ・トレード 弱アルカリ性溶剤、高級ハッカ油、エタノール、植物抽出天然エキス、増粘剤、添加物
ヒルまず進め 錦海ソルト 海水にがり
ダウンヒル パレアンヌ 秋田の女子高生が開発。
成分 : アルコール、水、香料、サリチル酸2-ヒドロキシエチル
ヒルノックエコ ヤシマ産業 有効成分:植物精油

もっとも安上がりなのは「ヒル忌避剤」を自作すること。

用いるのは「塩」です。

濃度20%の塩水を用意します。

塩分濃度20%の塩水の作り方。

「水」1lに対して「塩」250g を溶かすだけ。

そんなに一杯いらないので、「水」500mlに対して「塩」125g。

お手軽な「塩」の重さの計り方。

ペットボトルのキャップ1杯分で5g。

125g = 5g × 25杯。

さて、これをどう使うのか?

神奈川県の県央地域県政総合センターが作成した「ヤマビル対策リーフレット」にある次の画像を参考にしてください。
(画像クリックで拡大)

ちなみに以下はヤマビルファイターのイカリ消毒のHPにある画像です。

これって、まさか‥?


(画像出典 : TBS NEWS)

「ヒル忌避剤」の実際の効果は?

おもしろいサイトを見つけました。

ヤマビル忌避スプレーを使ってみる。

上記の表にもある「ディート」無添加、「海水にがり」から作られた「ヒルまず進め」(メーカー: 錦海ソルト)を実際に使用しての体験談を画像付きで紹介されています。

「吸血」された!! どうする?

個人的に大好きなジャングル戦の映画「ヒル」にたかられているのに気付いたシーンでの対処は、直接タバコでジュッ‥。

この方法も有効ながら、実際には「吸血」している口を狙って「ツメでこそぎ落とす」「塩・消毒用エタノール・食酢を振りかける」「虫除けスプレーを噴射」などになりそうです。

その後、傷口をつまんで「ヒル」の唾液成分を絞り出しながら、消毒用アルコールや水で洗い流します。

ポイズンリームバー」という毒を吸い取る商品もあります。

カットバン(絆創膏)を貼って止血。

市販の抗ヒスタミン剤の軟膏を塗ることでかゆみを抑制できます。


この世の中、決してニンゲンが中心に回っているではない。

「ヒル」だって生きており、地球における生態系の立派な一員なのだ。

「被害」を回避したいと思い、その「駆除」に躍起になるということまでは理解できるものの、「絶滅」さえをも望むのは、全く間違っていると思います。

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