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深海魚が水圧に潰されない理由&「グロ」くて「キモ可愛い」理由

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以下の画像を見たことありませんか??

(画像出典 :  カップ麺容器の圧縮について)

「深海の高い水圧」を理解してもらうためにと、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が高圧実験水槽を見学した人に贈呈しているというカップヌードルの容器です。
(6500mというのは、潜水調査船「しんかい6500」の潜航深度である水深6500mの水圧を掛けて容積が1/8となった容器です)

ご存じのように、水深が深くなればなるほど、水圧は高まります。

これほどの水圧が掛かる環境に生息している「深海魚」。

なぜ、潰されてしまわないのでしょう??

回答 : 「空気」。

まずは、上記のカップヌードルの容器はなぜ、潰されて縮んでしまったのか? について考えてみます。

1/8に縮んでも容器自体は無事で、成分表などの細かい情報も読むことができ、均一に縮んでいます。

何がどうなったのか? というと、容器に含まれる「空気」が圧縮され(追い出され)たことによって空いた隙間を埋めるように容器が縮んだ、ということです。

圧力が掛かると「空気」は簡単に体積が変化します。

例えば、ペットボトル。

「空気」で満たしたペットボトルを握り潰そうとしてみるとどうですか?

正直、フニャフニャですよね?

一方、「水」で満たしたペットボトルで試してみると?

ほぼ、状態は変わりませんよね?

「水」「油」は非圧縮性という「圧力を掛けてもほとんど体積が変化しない」特性をもっているからです。

実際、「水」で満たしたペットボトルを海に沈めたところ、深度6500メートルでも潰れなかったそうです。

通常「魚」といえば「浮き袋」という気体の詰まった袋状の器官を持っていることは存知だと思いますが、「深海魚」は、この器官がそもそも無かったり、その中身が「油」、つまり「脂肪分」であったりします。

よって、「潰れない」のです。

逆に、「深海魚」が釣り上げられていきなり地表に出されると、わずかな酸素やガスが高度の圧縮環境から解放されて膨張することとなり、結果、眼が飛び出したり内臓が押し出されたりと、よりグロテスクな様相を呈することになります。

加えて、ニンゲンの細胞が深度4000mを越えると変形するとのことから、タンパク質の構造も深海に適したものとなっているようです。

そもそも「深海魚」とは?

一般には、「水深200mより深い海域に住む魚類」のことを言います。

ただし、成長の過程で生息深度を変える種類や、餌を求めて日常的に大きな垂直移動を行う魚類も多く、「深海魚」という用語に明確な定義が存在するわけではない。(Wikipedia)

この定義によると、身近な魚類として、「スケトウダラ」「キンメダイ」「アンコウ」「ムツ」などが挙げられます。

「深海魚」はなぜ「グロテスク」な様相になのか?

「グロ」= 「グロテスク」のホントの意味とは?

「グロテスク」(grotesque)  = 略して「グロ」。

普段みなさんが「グロい」と言う場合、どういうイメージを抱いていますか?

その基準は何でしょうか??

現在の日本では、「グロテスク」「グロ」「グロい」という使い方で、「奇妙・奇怪・醜怪・異様・奇抜・不愉快・不調和・不気味」なモノを指す場合に名詞・形容詞として用いられています。

が、実はもともとは「グロテスク」ある特定の美術様式を指す美術用語なのです。

「グロテスク(grotesque)」の語源は、イタリア語の”グロッタ(grotta)” で、意味は「地下墓所」「洞窟」。

その形容詞形の”グロッテスコ(grottesco)”が英語の“grotesque”となりました。

ここでいう「洞窟」とは、西暦64年のローマ大火の後に皇帝ネロが建設を開始した「ドムス・アウレア」(黄金宮殿)という未完の宮殿群の部屋と回廊のことを指しています。(イタリアのコロッセオの北東側、徒歩1分。)

「ドムス・アウレア」の宮殿群は過度な装飾様式の美術品で飾られていて、そこにはヒト、動物、植物などをモチーフとした装飾壁面が施されており、自然法則や本来の大きさを無視したりして人から植物へ、さらには魚、動物へと連続して変化する奇妙な模様が見られます。

この「”洞窟”で発見された古代美術」をルネサンス全盛期である16世紀に、ラファエロがその模様をバチカン宮殿回廊の内装に取り入れ、それが「グロテスク装飾」と呼ばれるようになります。

1500-1512年頃のイタリアでのグロテスク様式の版画(Wikipedia)

深海魚の「グロさ」は「特化(特殊化)」であるという理由

少々、論点が逸れてしまいましたが‥本題‥。

深海魚に「グロさ」を感じる理由 -【眼球】

眼球そのものが無かったり、あっても異様に小さかったり、逆にバカでかかったり‥。

光が届かない深海においては、「視力」としての「眼」は必要ありません。

「眼」はあってもほとんど機能していないか、バカでかい「眼」などは映像を捉えるためというよりも「センサー」や、潜水艦の「ソナー」的な役割だと言われています。

これぞまさに、「ルーの法則」。

「身体(筋肉)の機能は、適度に使えば発達し、使わなければ萎縮(退化)し、過度に使えば障害を起こす」という法則。

(過去記事 : 放置で死の危険‥3日間で便秘を解消する方法 – 単純明快! 実証済み!!)

しかしながら「深海」に依らずこの事例、自然界においては別に珍しいことではありません。

身近な例を挙げると、「モグラ」

「眼」らしい跡はあっても「視力」は限りなくゼロ。

地中では「見る」必要はありませんからね。

その他、洞窟や鍾乳洞の中の地底湖などに生息する魚類も「光」は必要ないことから、このような生物もいます。

(画像出典 : Retour à la listeFiche espèce : Tétra aveugle – Museum Aquarium de Nancy )

「ブラインドケーブ・カラシン」。かつての名称は「メクラウオ」。
(最近では「めくら」が障害者差別にあたるとされて、まず使われない死語)

深海魚に「グロさ」を感じる理由 -【受け口のアゴ】

” 異様にデフォルメされた下アゴ ” も「深海魚」にはよく見られます。

深海の世界には生物の数そのものが少ないことから、いつエサにありつけるか分からず、捕食の機会が訪れた際には確実に獲物をゲットする必要があります。

そのため体のサイズに合っていないほどに口が大きくなったり、一度捕らえた獲物を逃がさないよう鋭いキバを持つ者が多くなったりします。

また、” 受け口 “になっていることも海底にいるカニやサカナをすくい上げやすいというメリットがあるようです。

「フクロウナギ( Eurypharynx pelecanoides)」の図。(Wikipedia)

なんだこりゃ‥!?

こうなると、もはや子供の「おもちゃ」レベルというか、「マンガ」の世界というか‥。

でも、この「フクロウナギ」、現存するうちで非常に大きな口を持つ深海魚として知られており、世界中の温暖な海の深海(550~3,000m)で比較的普通に見られるそうです。(Wikipedia)


フクロウナギのホルマリン漬け(画像出典: カラバイア)

深海魚に「グロさ」を感じる理由 -【骨格・筋肉・体型】

グニャグニャ、ブヨブヨ、ニョロニョロ。

「深海魚」は、骨は無いのか? と思うほどにダランとしていて柔らかそうで、体型としても長くて細いもの(薄いもの)が多く存在します。

これらにも理由はあります。

通常、魚の骨格や筋肉の比重は海水より高いため、浅場に棲む海水魚は遊ぐこと、浮き袋を活用することで浮力を得ています。

しかし深海においては、「泳ぐ」というようなエネルギーを消費してしまう方法は避け、浮力を確保する必要があります。

なので、多くの「深海魚」骨や筋肉といった密度の高い組織が減少しており、代わりに低比重の水分と脂肪分を多量に含んでいます。

だから、「グニャグニャ、ブヨブヨ」なのです。

中には泳ぐのに必要な腹ビレとそれを支えている骨、頭部の骨までも退縮させたものや、ウロコ・棘条(きょくじょう。ヒレにある硬いトゲトゲ)を持たないものも多く、これらもすべて「軽量化」への一手段と見られています。

また、体長の長さを活かしたヘビのごとくに身体をうねらせての泳法も、筋力を使わず、極力少ないエネルギーで推進力を生み出すのには有効です。

だから、「ニョロニョロ」なのです。

以上、「深海魚」「グロさ」「退化」ではなく、「進化」でもなく、深海という過酷な環境下における「特化(特殊化)」である、というお話でした。

深海魚ってやっぱりグロい‥?

この記事を書くにあたって色々調べていたところ、面白いものを見つけました。

(画像出典 : https://twitter.com/rfedortsov )

何じゃ‥?これは‥。

実はコレ、トロール漁船に乗って底引網漁業を行っているという、ロシアの漁師Roman Fedortsovさんの「Twitter」からの画像です。

昨年(2016年)の初めくらいから、珍しい「深海魚」が掛かった時に自身のTwitterにその写真を投稿するようになったそうです。

全部が全部、「深海魚」関連ではないものの、リアルタイムというか、現場からの生の画像というのは非常に貴重です。

興味のある方、是非ともご覧あれ。


ちなみに基本、私個人の感想としては「深海魚のグロさ」って、「スゲー」「カッコイイ」「キレイ」「カワイイ」です。

ということで最後に、同様の感覚を持った人の「深海魚好きな人集まれー!」というスレをご紹介しておきます。


ちなみに「潜水艦映画」も大好きです。

古くは「眼下の敵」「U・ボート」。

「レッド・オクトーバーを追え!」「K-19」「クリムゾンタイド」「U-571」等々‥。

深海における、あの潜水艦内での「ミシミシ‥」という、きしみ音‥。

「閉所不安症」(≠「恐怖症」)の私にとって、「深海での潜水艦内での水圧による危機」という状況‥これ以上にはない、たまらない臨場感なのです‥。

ご存じない方は、是非ともご覧あれ。

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