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オオカミってカッコいい! その魅力について!! 【ニホンオオカミの再導入】

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近年、ニホンジカ、イノシシ、サルの生息数が急速に増加して全国的に分布を広げ、農作物等への被害が深刻な社会問題となっています。

農林水産省の資料によると、その被害金額は年に約200億円。

加えて、被害は金額面だけの問題に留まらず、農業従事者の皆さんの「やってられない」感を招いてしまって放棄される耕作地が増加、結果、エサ場を失った動物たちによる被害が更に拡大という悪循環をもたらしています。

こうなると取られる対策はやはり「駆除」なのですが、狩猟者そのものの減少や高齢化等によって十分な対策がなされていない地域が増加しています。

林野庁の資料によると、野生鳥獣による森林被害のうちのニホンジカによるものが約8割を占めています。

このニホンジカによる被害の根本的な対策として持ち上がった議論が【ニホンオオカミの再導入】です。

1995年、アメリカのイエローストーン国立公園で実施された【オオカミの再導入】という壮大なプロジェクトを真似たものです。

オオカミってカッコいい! その魅力について!! 【オオカミの再導入】

ざっくり言うと、ニンゲンによって絶滅させられたオオカミたち‥。

天敵であったオオカミニンゲンどもが消し去ってくれたおかげで、シカたちが大増殖。

エサである植物群を食べ尽くしてしまい、結果として他の野生動物の減少や絶滅を招き、更には土砂の流失や土壌の崩壊を引き起こしたりなど、自然生態系への被害が進んでしまいました。

そこで持ち上がったのが、この荒れ果て「裸の地」と化してしまった国立公園への【オオカミの再導入】という計画。

結果、誰もが予想し得なかった劇的な変化が‥!!という物語です。


このプロジェクトを参考として、日本においても【ニホンオオカミの再導入】を行い、鳥獣被害を防ごうとしているのが一般社団法人日本オオカミ協会です。

ニホンオオカミは明治時代に絶滅させられているので、全く同じ種の再導入などは有り得ません。

なので、「外来種の動物を持ち込むことには反対」という意見に対しては、生物学的な観点からみると北海道に生息していたエゾオオカミも、本州以南に生息していたニホンオオカミも、北半球の広い地域に分布するハイイロオオカミ(=タイリクオオカミ。Canis lupus)と同種となる「ニホンオオカミの再導入」であるため、同じく絶滅種であるコウノトリやトキの再導入による復活となんら異なるものではない、としています。

この日本における「オオカミの再導入」の可能性について調べていたところ、実に素晴らしい論文を見つけました。

知床国立公園におけるオオカミ再導入の可能性~イエローストーン国立公園の実例から~

なんと、「3年3組35番」の女子高校生によるものです。

知床国立公園における「オオカミ再導入」計画を、国立公園内だけでなく、より大きなスケールで考えれば、知床でもオオカミが生息することは生態学的に可能だと考えられる。
確かに「現在の日本ではさまざまな面で課題が多く残されており、実現は難しい」と思われる。しかし、だからと言って不可能ではない。前例が無いなら非常に厳しいが、イエローストーンの実例では多方面で上手くいっている。そのようなYNP(Yellowstone National Park)を見本とし、シカ問題を解決し得る他の有効な手段が見つからない限り、日本でも「オオカミ再導入」を検討・実施するよりほかないだろう。

と結論づけています。

見事な考察です。

しかし一方、知床博物館による資料、

「知床に再導入したオオカミを管理できるか」

の米田政明氏によると、以下の3点を理由として知床への「オオカミの再導入」は難しいとしています。

  1. 収容力
    知床半島だけでは1パックのオオカミでさえ収容するのは困難である。
    拡大知床地域とすれば、潜在エサとなるエゾシカも豊富であり、15頭のパックを最大3パックほど収容できそうである。
    ただし、この場合、予測不可能な事態がおきて導入個体の管理強化の必要が生じた場合、地域が広いため対応がより困難となる
  2. 導入後のオオカミの管理
    分布域や個体数を望ましいにようにコントロールすることは特に第二世代以降で難しく、希少種の捕食や競合種への影響など予測困難な事態がおきた場合、その対処には多くの困難が予想される。
  3. 社会的受容面
    被害レベルを低減させるためには、第二世代以降の捕獲(生息数)管理を行いながら、必要な地域を柵などで物理的に保護していく対策などが考えられるがそのための経費は相当なものになろう。
    導入後は家畜被害が予想され低い確率であっても人身被害もおきる可能性があるが、他の野生動物による被害補償との整合性から直接被害補償システムの構築には困難が予想される。
    社会的受容は、職業層による意見の違いが大きいと考えられ、農家には反対意見が強いであろう。「3年3組35番」の女子高校生 vs 米田政明氏の戦い‥。
    是非とも見て見たいのですが‥。

そもそも、ニホンオオカミは絶滅したのか?

1996年10月、埼玉県の秩父山中で「NPO法人 ニホンオオカミを探す会」の 代表理事 八木 博氏が「謎のイヌ科の動物」と遭遇し、その撮影に成功しています。 (画像クリックで拡大)

この顔つき‥この毛並み‥何だこの生き物は‥??

そして、こちらがニホンオオカミの剥製。

ニホンオオカミの復元剥製(神奈川県立地球博物館)

また、2000年7月、九州の祖母山系で西田智氏が「にわかに犬とは思えない不思議な個体」と遭遇して写真撮影にも成功。

2012年にこちらの書籍が出版されました。

本当に「ニホンオオカミの生き残りなのか?」については、古くは「ネッシー」やらの「幻の生き物」関連の話題に常に付きまとう賛否両論の意見があって、この件についても結局のところ、実際に捕獲して骨格やらDNAやらを分析しなければ真実は分からないというところに落ち着いています‥。(どうかそんなヒドいことはしてあげないで‥)

もしも、ニホンオオカミが絶滅していなければ?

もしもの話。

もしも、ニホンオオカミが奇跡的に生き残っているとするならば、「オオカミの再導入」という明らかに大自然に逆らったニンゲンによる人為的な行為、まさしく「種の絶滅」を招いてしまう危険性があります‥。(だとすると、どうしても避けて頂きたい‥)

また、日本への「オオカミの再導入」の議論でよく取り上げられるのが、過去の沖縄本島へのハブ対策としての「マングースの導入作戦」失敗。というか、大失敗‥。

1910年、「ハブ退治」の決め手としてインドから持ち込まれた21匹のマングースが沖縄島に放たれました。

当初の個体数は数10匹でしかなかったものの、どんどん自然繁殖を繰り返して瞬く間に増殖、最高で3万匹にも達したと推定されています。

1979年には奄美大島にも「ハブ対策」として、30匹ほどのマングースが沖縄から導入され、現在の推定生息数は約1万匹だそうです。

これが、大失敗‥。

実はほとんどのマングースが肝心のハブを食べていなかったのです‥。

導入されたマングースたちは、そもそも昼行性雑食性の動物。

これに対し、好敵手として選ばれたハブは、基本的に夜行性

生活パターンが全く真逆であるので、そもそもハブとの接触の機会すらもなく‥?

しかも、マングースは単なる「雑食性」の動物であって、「ハブ駆除の専門家」でも何でもないのです。

となると、敢えてわざわざ危険を承知で「毒ヘビハブをエサとしてを狙う」という変わり者のマングースがどれほどいるというのでしょうか‥?

沖縄・奄美に放たれたマングースたち、現地で飼われていたニワトリやアヒルなどを襲いながら、沖縄においては「オキナワキノボリトカゲ」「ヤンバルクイナ」「イシカワガエル」、奄美では「アマミトゲネズミ」「アマミノクロウサギ」「ケナガネズミ」などといった、国の天然記念物、絶滅が危惧されている島固有の希少生物をエサとしていたことが判明しました。

以降、マングースは一転して悪者扱い、今や「特定外来生物」に指定されることとなって沖縄・奄美はその駆除に躍起‥。

どんだけ勝手なんだ、ニンゲンって‥。

以下、何故か「右クリック禁止」に設定されている 環境省 奄美野生生物保護センターのHPからの「コピペ」w

環境省は、2000年に奄美大島で本格的なマングース駆除に着手し2005年からは「奄美大島からのマングースの完全排除」を目標に、外来生物法に基づく防除事業を進めています。この事業の中心を担うのが「奄美マングースバスターズ」です。山中に計画的に設置された30,000個を超えるマングース捕獲わなの点検、自動撮影カメラやヘアトラップによるマングース生息情報の収集、マングース探索犬によるきめ細かな探索、新しいわなやモニタリングツールの開発など、組織的な防除を進めています。

環境省の「特定外来生物防除等推進事業」によると掛かる予算は「420百万円」

いち・じゅう・ひゃく・せん・まん‥。

「4億2千万円」ですね。

その対象として「マングース」「オオクチバス(ブラックバス)」「スパルティナ・アルテルニフロラ(イネ科の植物で、北米東部原産。外見はヨシに似ており、高さ2mまで成長する場合もある by wiki)」「アカゲザルとニホンザルの交雑種」「アライグマ」「ヌートリア」が挙げられています。

「アメリカザリガニ」は? 「セイヨウミツバチ」は? 「カダヤシ」は? 無視でいいのかな??

詳細についてはこちら → 環境省 特定外来生物等一覧

食物連鎖のピラミッドからみると、自分自身を捕食するものがいない「頂点捕食者」は、一般的に上位にいくほどにその個体数は少なくなるのが通常です。

ということから考えると、沖縄・奄美によるマングースの繁殖は明らかに異常ですね。

(画像出典 : サンゴ礁年漂流記)

で、もしも仮に我が国日本で「オオカミの再導入」を行った場合。

本当にマングースの導入と同様、オオカミが大繁殖、固有種である生物を襲って喰い、自らの個体数を増やすことになるというような現象が起こるのでしょうか‥?

加えて、やはり、「オオカミに襲われる被害」への懸念‥。

(参考 : オオカミってカッコいい! その魅力について!! 【ニホンオオカミ】

オオカミってカッコいい! その魅力について!! 【送り狼】 )

これをいうなら、思わずビックリしてニンゲンを傷つけてしまうだけの「ツキノワグマ」(結果、死を招いてしまうという場合も多々あるものの‥)と、実際にニンゲンをエサそのものとして狙って食べるために襲ってくる「ヒグマ」。

この「ヒグマ」は絶滅させてしまうべきなのでしょうか‥?

【キャンプ】ある日、森の中、クマさんに出会った!! どうする!?

この話題について興味のある方は、「三毛別羆事件」で調べてみてください。(ただ、相当ショッキングな内容ですので、グロ耐性のない方はご留意ください・・)

ちなみに、アメリカでのイエローストーン国立公園での「オオカミの再導入」以降の「家畜の被害」については、オオカミによることが確認されたものについては、政府および「オオカミ補償基金」によって補償されています。

やっぱり、日本での、「オオカミの再導入」。

国レベルでの本気度からしても、やっぱり無理でしょうね‥。

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