水族館に出掛けるといつも、クラゲの展示コーナーの前でずーっと時間を費やしているほど、クラゲが好きです。
クラゲは漢字で「水母」「海月」「水月」などと書きますが、やはり「海月」がいいですね。(余談ながら、娘さんを【海月-みづき-】と名付けてしまったというお母さんからの悩み相談を目にしました。からかわれる、いじめられる、無知すぎる等々厳しい意見もあり、そうなのかもしれませんが、私は「かわいいなぁ‥」と感じました)
クラゲの身体は約95%が水分で出来ていて、残りはゼラチンです。
なので、潜水艦が潰されるような水圧の高い深海でも生きていけます。
多くのクラゲは光を放っていて、水がなければ当然枯れて死んでしまいます。
クラゲの寿命は1年から1年半です。
海水浴場にいつクラゲは発生するのか?
「海水浴はお盆の前までに」といわれますので、お盆過ぎになると突然発生するかのようにも見えますが、クラゲの生活場所は海の中ですので一年を通して海中には生息しています。
では、どうしてこの時期に急に大量に姿を見せると思うのかというと、水温が20~30℃になると活動的になり、「ポリプ」という子供のクラゲが大人のクラゲへと成長するのがちょうどお盆明けぐらいの時期だからです。
「対処法」の前に‥
たいていの場合、クラゲに刺されても本格的な治療は必要ないものと思われますが、刺されたときに下記のような症状・状態であれば早急な医療処置が必要です。直ちに救急車を呼んだり、ライフセイバー等に連絡をして人工呼吸を行なう等の素早い処置が不可欠となります。
アナフィラキシー・ショックについて
アナフィラキシー・ショックは、体が毒に対処しようと過剰に反応している状態です。一般に刺されて数分から15分くらいで発症し、その程度は人によって違いますが全身性じんましん・下痢・くしゃみ・咳・意識朦朧・ショック症状・呼吸困難・嘔吐・脱力感・血圧低下等の症状がでます。
過去に一度でもクラゲに刺されたことがあると、身体の中で抗体が作られている可能性が高く、二度目に刺された時に、身体中の抗体とアレルギー反応を起こす危険性が高くなります。「クラゲに刺されてもあの程度」「前回の症状が軽かったから今回も」という考えは間違っています。
特に、毒性の強いクラゲに刺されたことがある場合は、そのアレルギー反応が顕著にあらわれる確率が高まりますので注意が必要です。
クラゲに刺された場合の対処法
その場から速やかに離れる
刺された時点でできるだけ落ち着いて、繰り返し刺されないように速やかに浜にあがりましょう。刺された箇所に素手で触れたり、こすったりしてはダメです。
もしクラゲの刺胞(毒針)が残っていると、さらに繰り返し刺されることになります。(「まずクラゲの種類を確認する」と書かれているサイトもありますが、攻撃を受けた直後におそらくそんな余裕はないと思いますので、以下、相手が何者か不明でも通用する対処法です)
海水で洗い流す
真水は浸透圧の関係上、刺胞を刺激することになって毒を余計に体内に入れてしまうこととなります。できるだけ体を動かさず、温かい海水を刺された箇所にかけ触手をよく洗い流します。(冷たい海水がいいとの見解もあるようですが、今のところ暖かい海水でという方法を多くの専門家が薦めているそうです)。
触手を取り除く
クラゲの触手は本体を離れたり本体が死んでしまったとしても、物理的な刺激をきっかけに発動して繰り返し刺すことができるという非常に精巧な防衛システムです。(なので波間にただよっている触手に触れても、同じように刺されます)
作業の際には素手は避け、ビニール袋やゴム手袋、湿ったタオルなどで手を保護しましょう。ピンセット、ナイフ、または清潔な箸でも取り除くことができます。
さらに体内に毒が流れ込まないように、体は動かさずじっとさせておきます。
(その他、クレジットカードやカミソリの刃を使って触手をこそぎはがす方法もあります。皮膚を強く刺激してしまうと、新たに刺胞が発射されてしまうので、クレジットカードを30度程度の角度で当てながら、できるだけ慎重にはがしていきます)
痛みがひどい場合は、痛み止めの薬を飲んで大丈夫です。
その後の処置と手当
触手を取り除いて痛みが和らいだ後は、基本、ケガをしたときの傷口を扱うのと同様、患部を温かい水で洗って(すでに刺胞を取り除いた後なので、海水でなくてOKです)、清潔にして傷口を塞ぎます。
ある程度痛みが引いた後には、患部にアイスパックを当てれば、炎症を抑えることを含めて痛みを和らげることもできます。
これでもまだ引かないとなったら、これも傷口同様、ガーゼをあててテープでとめ、交換の毎にお湯で洗って、必要に応じて化膿止めの軟膏を塗ります。
手当をしてから10分程度で痛みが引き始めるのが実感できるはずで、1日2日、数日で痛もは消え、赤みも取れます。(もしも1日たっても痛みが続くようなら、病院へ)
間違った対処法
酢をかける
クラゲに刺されたら酢が当たり前、オーストラリアでは海水浴には酢を持参するのが常識という記事も読みましたが、危険です。
相変わらずみなさん適当過ぎで、例えば、あらゆるクラゲの刺傷に有効だと主張する人がいれば、アンドンクラゲに刺された場合のみ有効だとか、ハブクラゲに刺された場合のみだとか、カツオノエボシには逆効果だとか、あらゆる情報が飛び交っております。
こんな不確定な情報に加え、相手が何者か不明という状況、このような危うい対処法は避けるべきです。
真水をかける
海中にいるクラゲの刺胞は塩分濃度の高い毒液で満たされています。上記でも述べたように刺胞の防御システムは何らかの刺激によって発動されますので、毒液の塩分濃度を変化させるという刺激を与える真水を使うと、刺胞から毒針が発射されます。
消毒をする
《軽いものに限っては市販の消毒薬を使用しても良い「かもしれません」》としているサイトもありますが、処置中に皮膚にアルコールをかけるのは危険です。真水と同様、アルコールを患部にかけると、刺胞からさらに毒液が放出されてしまって症状が悪化します。
尿をかける
ハチに刺されたら・・というのは日本にもある俗説ですが、外国にはクラゲに刺されたら尿、という俗説が古くからあるそうです。
実際のところ、尿はクラゲの刺傷に対しては何の効果もありません。
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